「文在寅発言」よりも気になる次期大統領最有力候補の強硬な対日「3.1発言」

次期最有力大統領最候補である李在明・京畿道知事(李知事のHPから)

 文在寅大統領は今年も独立運動記念日の3月1日に演説し、日本に対してメッセージを発信していたが、その内容に日本政府はがっかりしたのではないだろうか。それもこれも、肝心の元慰安婦や元徴用工問題について「被害者中心主義の立場で知恵のある解決策を模索する」とか「いつでも日本政府と向き合って対話を交わす準備ができている」との原則論を繰り返していたからだ。

 韓国のメディアは文大統領の任期が残り少ないことから日韓関係のネックとなっているこれらの問題解決のため今年の演説では踏み込んだ発言をするのではと予測する向きもあっただけに日本の落胆は察するに余りある。

 文在寅大統領の任期は来年5月までだが、来年3月9日には大統領選挙がある。新大統領が選ばれれば、5月には新政権が発足するので直前の文大統領の「3.1演説」は効力も、意味もない。そう考えれば、今回が最後の「3.1演説」と言っても過言ではない。

 仮に文大統領がこのまま日韓関係に手を付けず、放置すれば、解決は次の政権に委ねられることになる。そこで注目されるのが次期大統領最有力候補と目される李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事の「3.1演説」である。

 李在明知事(57歳)は今、大統領選挙が行われれば、当選確実と言われるぐらい知名度も実績も抜群の政治家である

(参考資料:韓国の次期大統領候補トップに躍り出た「李在明」は何者? 「親日」か「反日」か)

 一時は文在寅政権の初代総理だった与党「共に民主党」の李洛淵代表が与党の次期大統領候補として本命視されていたが、現在では李知事に取って代わられている。ありとあらゆる世論調査をみても、李知事は他の候補を抑え、1位の座をキープしている。

 世論調査会社「リアルメータ」が先月22日から26日にかけて全国2536人を対象に行った世論調査結果が今朝発表されたが、この調査でも23.6%の支持を得て「好ましい次期大統領」として1位に選ばれている。ライバルの李洛淵党代表と野党陣営の「希望の星」である尹錫悦検察総長はそれぞれ15.5%で、李知事に8ポイントも引き離されている。

 次期大統領最有力候補と目されている李知事も3月1日の今日、京畿道主催の記念式典で演説を行ったが、日本に対しては実に辛辣な内容だった。歴史問題や対日関連の発言を幾つかピックアップしてみると;

 「大韓民国は解放後も既得権を維持していた親日勢力の反発により親日残滓を清算する機会を失ってしまった。その負を我々は今も引きずっており、忘れたと思ったら毒キノコのように生えてくる過去史に関する妄言もまた親日残滓をきっちり清算できなかったことにある」

 「歪曲された歴史は歪曲された未来を生むことになる。歴史を正す理由は過去に縛られているわけでもなく、報復のためではない。今後(我々が)進むべき道を探すことにある」

 「最初のボタンを掛け間違えたからと言ってそのままにしておく愚を犯すべきではない.親日行跡が確認された作曲家の「京畿道の歌」を廃止して、新しいものをつくったように京畿道は徹底的に準備したうえで今年を親日清算元年として速度を上げて、歴史を正していく」

 「親日人士257人の行跡を知らせる親日記念案内板と日本帝国主義が強制改称した地名の調査、新日残滓アーカイブの構築などを通じて既得権のため共同体を見捨てた勢力が再び権勢を取ることのないよう努力する」

 李知事の「3.1」での対日強硬発言は今年に限ったことでない。一昨年の「3.1」100周年の記念式典でも「親日残滓を清算すること、過酷だった歴史的事実を記録保存すること、虐げられた過去を物心両面で慰労することはこれ以上自制すべきでもないし、自制してはならない。日本軍性奴隷被害者、強制労役動員被害者らを称え、支援することで残酷な歴史が繰り返されないようにしなければならない」と発言していた。

 李知事の対日姿勢は文在寅大統領よりも強硬であると言っても過言ではない。

 李知事は「慰安婦日韓合意」については「破棄、再交渉すべきである。日韓合意は被害者が同意しなければ効力はない。密室で決めた結果であって、国家間の合意の最小限の条件も備えていない。正統性もなければ、国民の信頼も完全に失い、追い出される危機に瀕していた政府(朴槿恵政権)がやったことだ。一番良いのは、国会で合意無効の決議を採択することだ」との考えの持ち主で「民間が提起する真相究明や補償問題について政府は再度(日本側と)交渉しなければならない」と一貫して主張している。

 また、日本が求めている日本大使館前の慰安婦像についても「ソウル市のものなのでソウル市が除去しない限り、政府が強制撤去させることは不可能だ」と、撤去には反対の立場を貫いている

 さらに昨年9月には自身のフェイスブックを通じて、日本の反韓・嫌韓派に対して「軍国主義軍事大国という愚かな欲望のために反韓感情を煽って自国民を糊塗するのをやめよ」と警告し、10月にもベルリンの慰安婦像撤去に反対する書簡をベルリン市長とミッテ区の区長に送っていた。

 日本では文政権下での日韓関係の改善は無理との声が支配的だが、対日強硬派の李知事がなれば、日韓関係改善の道はさらに遠のくだろう

(参考資料:文在寅大統領の対日政策に変化なし!「元徴用工」「元慰安婦」問題も新駐日韓国大使に一任か!?)

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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