日本人が忘れてしまった震災時の韓国人の「がんばれ、日本!」の「親日」エール #あれから私は

韓国人慰安婦も日本に「頑張って!」とエール(写真:ロイター/アフロ)

 東北を中心に東日本一帯で発生した地震は世界地震史上最大規模と言われていた。当然のごとく、被災状況やそれに伴う死者、行方不明者の数は想像を絶した。まさに悪夢だった。

 日本を見舞ったこの未曽有の災難、不幸は世界中に伝わり、台湾、米国をはじめ世界各国から次々と同情と励ましの声が寄せられ、救援隊も続々と派遣された。

 韓国も例外ではなかった。第一陣は5人と数こそ少なかったものの真っ先に緊急救助隊を送り、救助犬を使って、安否不明者の救助を行っていた。そして2日後には新たに102人から成る救援隊が空軍のC-130で被災地の仙台に到着し、本格的に救助、救援活動に乗り出していた。

 韓国国内での日本への支援活動や募金運動もかつてないほど活発だった。李明博大統領自身も駐韓日本大使簡を弔問し、哀悼とお見舞いを述べた。韓国の大統領としては、前例のないことだった。

 韓国メディアは全般的に、歴史問題や領土問題を抱える日本に対して批判的な論調の報道が多いが、この時は保守系、進歩系を問わず日本支援一色に染まっていた。被害の様子や被災者の姿を連日詳細に伝えるとともに、読者に義援金まで呼び掛けていた。

 韓国紙に載った社説や見出しは日本人が驚くほど日本への愛情をストレートに表現していた。

 例えば、「中央日報」は「今、私は日本人だ」の見出しを、また「韓国日報」は「日本のために泣いている」との見出しを掲げ、「日本を助けることは我々を助けることだ」と日本の災害を他人事として受け止めず、自らの「禍」として捉え、日本を助けようと呼び掛けていた。

 また、驚いたことに「東亜日報」には「がんばれ、日本!」、「ソウル新聞」には「深い哀悼の意を表します!」と日本語によるメッセージまで登場していた。極めて異例のことだった。

 この時の「東亜日報」の記者が書いた次の一言は今も脳裏に刻まれている。

 「地殻は日本だけを揺らしたのではなく、玄界灘を越えて韓半島にも未曽有の波動を送った。『がんばれ、日本』。かつて韓民族の地でこのような祈りが公然と、そして挙国的に巻き起こった歴史はなかった。全国民が『がんばれ、日本』を叫んでいる」

 最も近い隣国、隣人として当然のことだ。まして、「朝鮮戦争以来、最大の国難」と言われた1997年の未曽有の金融危機の際に助けてくれたのは他ならぬ隣人・日本であった。日本が金融支援をしなかったならば、韓国は国家破綻したはずだ。従って、恩返しするのは当然のことだ。

 日本で生まれた「在日」にとって日本の安全、平和、繁栄は尊く、いかに大事であるかを痛感している筆者も震災から3日後に「日本の危機を救え!」との見出しを掲げてブログで以下ことを綴った。

 「刻々と伝わる現地の悲惨な状況は見るに耐えがたい。原発事故も重なって今日から輪番停電が始まる。心を一つに、助け合い、協力して、この難局を乗り切らなければならない。日本には218万人の外国人が暮らしている。国民の60人に1人の割合だ。日本国民同様に日本政府に全面協力して、この危機を克服しなくてはならない」と。

 そして、2年後には日本を励まそうと「世界が一目置く日本人、残念な日本人」を出版した。専門外の本はこれが初めてだった。

 拙著では「忍耐力」「団結力」「勤勉」という「底力」がある日本人はこの国難を必ず乗り切れる、と一日も早い復興を祈った。もちろん、「風評」や「買占め」などに走る「残念な日本人」について触れるのも忘れなかった。

 10年経った今も日本人への想いは変わらないが、あれから10年、日韓はより良い関係になると思いきや、残念なことに悪化の一途を辿っている。

 困った時に助け合うのが本来、隣人としてあるべき姿である。いがみあって得るものは何もない。

 両国は「コロナ禍」の今こそ、お互いに協力し、助け合わなければならない。「#あれから私は」

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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