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韓国の世論調査は信用できるのか? 不可解なチョ法相をめぐる調査結果

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
チョ法相辞任を求める野党・自由韓国党の抗議集会(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

韓国国民の関心事であるチョ・グック法相就任をめぐる韓国の一連の世論調査は文在寅大統領の支持率が50%を大きく割り込み、43~40%と過去最低であるという点では一致しているが、その他については極端に矛盾した結果が出て、韓国の民意がどこにあるのかわかりにくくなっている。

韓国の有力世論調査機関である「韓国ギャラップ」が9月20日に公表した調査によると、文大統領の支持率は40%と前回調査の43%から3%低下。これまでの過去最低は4月第1週の41%だった。最低記録を更新したことになる。

もう一つの大手世論調査機関の「リアルメーター」(9月16~18日に実施)の調査結果でも文大統領の支持率は43.8%となっていたので文大統領の支持がどちらにせよ過去最低であることは疑いの余地もない。

また、文大統領によるチョ法相任命についても「リアルメーター」の調査結果では「反対」が55.5%、「賛成」が35.3%と20%以上の大差が付き、韓国の世論が任命に反対していることは歴然としている。

ところが、不思議なことに「韓国リサーチ」が韓国のKBSの番組「日曜診断ライブ」の依頼で今月19~20日に全国約1千人の有権者を対象に実施した調査によると:

▲チョ法相による検察改革については

「評価する」が52%

「評価しない」が35%と、国民の半数以上が不思議なことにチョ法相の唱える検察改革に支持を表明していた。

 また▲「チョ法相が検察改革をきちっとやると思うか」との設問にも;

 「やると思う」が45%

 「できないと思う」が41%と、これまた「期待する」が「期待しない」よりも14%も上回った。

その一方で▲チョ法相を巡る疑惑解明のための国政調査の必要性については;

 「検察の捜査に関係なく必要である」が46%と、国会は検察の捜査に関係なく国政調査を実施すべきとの意見が多数を占め、「検察の捜査を待ってから」(31%)あるいは「必要ない」(19%)よりも多い。

 それでいながら、党代表を筆頭に野党の自由韓国党議員らがチョ法相の辞任を求めて▲剃髪運動を続けていることについては;

 「共感しない」が57%

 「共感する」が32%と、国民は野党の剃髪という極端な方法よる抗議行動に同調していないこともわかった。

 ちなみに今月18日に「オーマイニュース」の委託を受けて行った「リアルメーター」の調査では▲野党のチョ法相退陣運動については;

 「反対」・・・・・・・・52.4%

 「賛成」・・・・・・・・42.1%と、「反対」が「賛成」を上回っていた。

 検察の改革は必要とのチョ氏の主張には共感し、その手腕も評価するが、本人や家族にまつわる疑惑が解明されない限り、法相就任には反対というのが民意ということなのだろうか。

 

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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