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金正恩委員長のベトナム入りは専用機、専用列車、それとも北京から?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
ベトナムの飛行機で2012年に公式訪問した金永南常任委員長(朝鮮中央通信)

 第2回米朝首脳会談は今月27日から1泊2日の日程でベトナムの首都・ハノイで開催されるが、18日午前現在、北朝鮮は依然として開催日時と場所について沈黙している。

 昨年の1回目の首脳会談(6月12日)の時は5月26日に板門店の北側エリアで行われた2度目の南北首脳会談に関する報道の中で「6月12日に予定されている」と言及していたことを考えると、不自然だ。

 すでに金正恩委員長の儀典を担当する側近の金昌善国務委員会部長らが開催地のベトナムに入って、米国のカウンターパートナーらと接触しているので、この期に及んでドタキャンはないとは思われるが、会談まで10日を切っているだけにもうそろそろ発表があっても良さそうなものだ。

 確かに訪中に限っては、父親の金正日総書記の時も含めてほとんど事前予告なく電撃的に行われているが、ロシアなどその他の国を訪問する場合には必ず事前公示があった。

 例えば、金正日総書記が2001年7月にロシアを公式訪問した際には出発(28日)2日前に「間もなく訪問する」との事前発表があった。また、翌年の2002年にも8月にウラジオストークを公式訪問していたが、出発(20日)一週間前に「8月下旬に訪問する」との公式報道があった。事前発表なく、ベトナム訪問となれば、ベトナムはロシアとは違い、共産国であることから中国と同様の扱いをしているのかもしれない。

 もう一つ気になるのは、ベトナムに入る移動手段である。

 専用機(旧ソ連製のイリューシン62の改造型)を利用するのか、それともシンガポールの時と同様に中国の飛行機を借りるのか、あるいは専用列車を利用して陸路で入るのか、これまた関心の的だ。

 平壌~ハノイ間は平壌~シンガポール(4,700km)よりも距離的に2、000kmも近い2,760kmであることから今回は専用機を利用する可能性が高い。すでに昨年5月の2度目の訪中の時に大連まで専用機を利用しているので、安全面でもテスト済である。

 しかし、それでも、不安が付きまとうならば、専用列車を利用する可能性も考えられなくもない。実際に祖父の金日成主席は58年、64年と二度ベトナムを公式訪問しているが、いずれも列車を利用していた。前例に従えば、列車使用の可能性もゼロではない。

 平壌からハノイまで飛行機ならば4時間で済むが、列車で移動となると、北京を経由してベトナムに入るのでこの場合、最低でも2日間はかかる。

 仮に列車を利用するならば、今回はベトナム公式訪問も兼ねており、25日にはハノイでベトナムの最高指導者との公式会談がセットされているので、遅くとも今週週末(23日前後)に出発しなければならない。

 もう一つの移動手段としては、可能性はほぼゼロに違いが、列車で北京まで行き、そこからベトナムの飛行機を利用する手段もある。

 憲法上の国家元首である金永南最高人民会議常任委員長は2012年8月にベトナムを公式訪問した際には北京からベトナム機を利用して訪問していた。しかし、金常任委員長が搭乗したベトナムの飛行機はベトナム政府が金常任委員長のため差し回したチャーター便ではなく、一般客が利用する民間機であった。

 北京から中国の飛行機をチャーターしてのベトナム入りも考えられなくもないが、一度ならず、二度もとなれば、自尊心や面子の問題もあるだけに空路の場合は今回は自身の専用機「チャムメ(大鷹)1号」でベトナム入りするのではないだろうか。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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