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日本と軍事機密情報を共有しても韓国が「独島(竹島)防御訓練」を強行する狙い

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
議員時代に竹島に上陸した朴槿恵大統領

韓国海軍が昨日(21日)日韓係争の島、竹島(韓国名:独島)防御訓練を実施した。「(他国の)船舶の領海侵犯」を想定した韓国軍と海洋警察による合同訓練で「竹島の不法占拠」(独島の実行支配)強化が目的である。

韓国の「独島防御訓練」は1986年に始まり、海軍の韓国型駆逐艦と護衛艦や海洋警察の警備艦、空軍F-15K戦闘機、海上哨戒機などが参加してきた。

今年の訓練も海軍艦艇と海上哨戒機、海上作戦ヘリ、海上警備隊艦船、それに航空機が動員されたが、今回の訓練の特徴は海兵隊が参加したことだ。海兵隊員10数人がUH-60ヘリに乗って竹島に上陸する本番さながらの訓練が実施された。海兵隊の島上陸は2011年末以来の事である。

韓国は2012年にも同様の訓練を実施したが、この年は、海兵隊の島上陸作戦は中止になった。日本を不必要に刺激するのは得策でないとの政府方針に従ったものと分析されていた。また、訓練場所も鬱陵島周辺で行っていた。訓練は当初、竹島から西に約17マイル(約27キロ)離れた海上で行われる予定だったが、鬱陵島から南東5マイル(8キロ)にある海上に変更されていた、その理由について当時、海洋警察関係者は「独島をめぐる不要な論争を巻き起こす必要がないと判断し、訓練場所を変更した」と説明していた。

この種の海上訓練は通常は、日本を刺激しないよう非公開で行われるが、今回は異例にも公開された。韓国国防部は「韓国の国有の領土であることを示すと同時に断固守護する意思を明らかにすることに狙いがある」とコメントしているが、今年に限っては別な思惑が隠されているようだ。そのことは「独島防御訓練はあくまでも定例訓練で、日韓関係を含む外交情勢とは無関係である」との韓国外交部の釈明に見え隠れしている。

一つは、プーチン大統領の訪日の際、北方領土返還を棚上げにしてしまった日本の弱腰に勢いづいたこと。もう一つは、日本との間で軍事情報保護協定(GSOMIA)を急いだことで野党や国民の一部から「親日」「売国奴」批判に晒されている国防部や外交部がそのエキスキューズにしていること。さらには、朴槿恵大統領に退陣を迫る世論の関心をそらすことにも狙いがあるようだ。

今回の訓練は、当初は11月23日に実施される計画だったが、突然延期となった。日韓軍事情報保護協定署名の日と重なったため政治的な判断から延期したのではとの観測が流れていた。

韓国軍と海上警備隊は外部の不純勢力による独島接近や占領を遮断するシナリオを想定し、1986年から毎年訓練を実施しているが、外務省や駐韓日本大使館を通じての日本政府の抗議に対して韓国外交部は「独島は歴史的にも地理的にも韓国の明白な領土であり、我が軍隊の領土守護の活動は主権の問題である」と一蹴してきた。

海上訓練には航空機も動員されているが、竹島の上空は事実上、韓国の軍事訓練空域に指定されている。竹島上空を含む東西90キロ、南北110~55キロの範囲で、国際航空図に一帯は「MOA」(Military Operation Area)と記されている。韓国が戦闘機の飛行訓練などを実施する空域とみられる。

この件についても、日本の外務省は「我が国固有の領土である竹島に、韓国が軍事訓練空域などを設定できない」として、韓国政府に指定取り消しを要求しているが、韓国に無視されたままだ。

竹島は日本海の南西部、隠岐諸島の北西沖にあり、男島(西島)、女島(東島)の2島と37岩礁から成る。座標は北緯37度14分30秒、東経131度52分00秒。総面積は約23万平方メートルで、東京の日比谷公園ほどの広さ。周囲は断崖絶壁で、飲料水に乏しく、元来は無人島であった。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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