ロシアと中国は北朝鮮の核開発に協力しているのか!?

金正恩委員長とプーチン大統領

北朝鮮の予想外の核ミサイル開発向上に米国をはじめ国際社会では中国及びロシアの協力なくしてはあり得なかったとの見方が広まっている。実際はどうか?

露朝関係

ロシアが旧ソ連時代に北朝鮮の原子力開発に協力していたのは紛れもない事実である。

北朝鮮が核兵器開発の土台となる原子力の研究を始めたのは1960年代初めからで、1965年には旧ソ連との間で原子力研究協定を結んでいる。

協定の締結に伴い、ソ連は1965年に2メガワット級の実験用原子炉1基を北朝鮮に提供している。北朝鮮は1974年にこれを8メガワット級に改良した。

北朝鮮は1980年に開催した労働党第6回大会で初めてエネルギー問題解決のためと称して原発建設に取り組んでいることを明らかにした。5年後の1985年に両国は1500メガワットの高出力原発建設に関する協定を結んでいる。これにより、北朝鮮の原発建設に拍車がかかった。

北朝鮮は金日成総合大学と金策工業大学に原子力工学を設置し、多くの留学生をソ連に派遣し、核科学者を育成した。1992年の時点で数百人がウクライナのドゥブナにある核融合研究所で研修を受けていた(「モスコフスキー・ガズェータ(1998年4月7日号)に掲載されたロシアの核科学者ニコラエビッチ氏のコメント)

現在、北朝鮮の核開発を指揮している崔学根氏はモスクワ大学とウクライナのドゥブナ核融合研究所で学んだ留学組の一人である。帰国後、原子力研究所の所長に就任し、1986年12月には政務院(内閣)に新設された原子力工業部部長(閣僚)に任命された。

核電子研究所の所長を務めている桂容淳氏もまたドゥブナ核融合研究所で学んだ一人で1970年代初め頃に「我々の力で原子力発電所を建設しよう」との気運が高まった時、その先頭に立った人物として知られている。

また、1981年から1987年まで原子力研究所所長を務めた朴官五・元金日成総合大学総長もモスクワ大学で物理を学んでいた。

1990年代に入るとソ連の崩壊で失業した核科学者らが高額でスカウトされ、次々に北朝鮮にやって来るようになった。その数は200人に上ったと推定されている。

真偽は不明だが、北朝鮮は旧ソ連時代にクレムリンに対し、カザフスタンの地下核実験場で核実験をやらせて欲しいと要請したことがあると、KGBの報告書(1990年2月)には記されている。核保有の事実を隠すためソ連の核実験にカムフラージュさせようと考えていたとのことだが、この北朝鮮の「代理実験」の打診について北朝鮮もロシアは否定している。

中朝関係

中国は北朝鮮への核開発支援を否定している。

しかし、1994年5月5日、米国務省のロード次官補(当時)は米上院外交委員会アジア・太平洋小委員会で「もし中国の支援がなかったら、北朝鮮の核開発は今よりも遅れていただろう」と中国が暗に協力していると批判していた。

また、保守系の「ワシントン・タイムズ」(1999年2月23日付)は「米国が1995年か、96年まで中国と共有していた衛星技術が北朝鮮に流れた疑いがある」と米国の技術が中国を経由して北朝鮮に渡った可能性を指摘していた。

中国当局はこの報道を「全く根拠のない話」として全面否定したが、ミサイルについては1995年に北朝鮮のミサイル研究者200人が訪中したこと、1999年に両国の間で科学技術交流協定が結ばれたことからこれまでに様々な疑惑が指摘されていた。

その疑惑とは;

▲北朝鮮の人工衛星と称する「テポドン2号」の一段目の推進体が中国のCSS-2中距離ミサイルに似ている。

▲北朝鮮の長距離弾道ミサイル「KN-08」の発射台車両が中国国防省系列の国有企業、中国航天科工集団の子会社「湖北三江航天万山特殊車両有限公社」が開発した「WS51200」と形状がそっくりである。

▲北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星-1」は中国のSLBM「巨浪1」(JL1)に類似している。

パネッタ米国防長官(当時)は2012年4月19日の米下院軍事委員会で、中国が「貿易と技術の交換」を通じ北朝鮮のミサイル開発を支援してきたかと質問され、「中国から何らかの助けがあったと確信している」と答えている。

そして、今回、遼寧省丹東に拠点を置く「丹東鴻祥実業発展有限公司」が核・ミサイル開発に必要な酸化アルミニウムなど四種類の金属を北朝鮮に輸出していたことが米国の調査によって判明した。

中国の企業が北朝鮮のミサイルや核開発に協力していた疑いが強まったことから今後、米国の中国に対する監視が一段と強まることが予想される。

(参考資料: 北朝鮮の港はロシア海軍の軍港となるか

(参考資料: 「脱中国」の北朝鮮とロシアとの経済協力の現状

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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