選択的夫婦別姓に向けて、風穴が開くのが見えた!?

イメージ(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

11月7日東京地方裁判所522号法廷で、面白い光景を目にした。被告である国が、原告ではなく裁判長に詰め寄られ、しどろもどろになったのだ。

「原告らの婚姻が、民法750条の要件を満たさないというが、要件とは形式的要件のことですか、実質的要件のことですか?」

「ええっと、じ、実質的要件です。た、ただ、この点については我々の中でも意見がわかれており、改めて文書にて回答したいと思います」

「では、ご本人を前にしてこういうことをいうのは何ですが、たとえば原告の身に万が一のことがあった場合、相続はできないとお考えですか?」

「そ、そう考えています……」

このとき、裁判長は「何を言ってるんだ、君は。本気か?」といわんばかりの表情を浮かべていたように、私には見えた。裁判長は常にポーカーフェイスでいるものだと思い込んでいた私には、その光景自体が新鮮だった。さらに続ける。

「民法750条は婚姻の効力を示しているが、要件は示していないわけで、民法750条によって被告の婚姻が認められないというのであれば、それがなぜなのか、きちんと説明してもらわなければ」

「は、はい……。そこにつきましては、二段階の説明がいいのかどうなのか、我々の間でも意見が分かれているところでしたので、改めて文書にて考えを示したいと思います」

国の答えは、要領を得なかった。裁判長も、もはや苦笑いを浮かべているように見えた。

このときの国側の慌てぶりはまるで、経営会議の場で「このプランの根拠は何だね。それがないと話にならないじゃないか」と担当役員から詰められ、冷や汗をかきながら引きつった笑みを浮かべる営業部長のようだった。

選択的夫婦別姓を求め、映画監督の想田和弘さんと舞踏家で映画プロデューサーの柏木規与子さんが起こした裁判での第2回口頭弁論にて、想田さん本人が意見陳述を行った直後のことである。訴訟の概要は下記を参照願いたい。

●想田監督「夫婦の20年を国が否定するのは脅威」、夫婦別姓訴訟で「法律に不備」と意見陳述(弁護士ドットコム)

https://www.bengo4.com/internet/n_8815/

原告は、ニューヨーク州家事関係法に定める婚姻の方式に従い、婚姻許可証を得て、同州ニューヨーク市マンハッタン所在の市庁舎において、記録官のもとで婚姻を挙行した。

この場合、通則法24条によれば、日本においても婚姻関係が認められる。しかし、国は「婚姻関係とは認められない」と強弁し、その根拠を民法750条だとしたところ、裁判長から、「どういう理屈なのかさっぱりわからない。話にならん」といわんばかりのツッコミを受けたのだ。

日本の法律に従って、日本人同士が別姓のまま婚姻関係を成立させている事実があるにもかかわらず、戸籍をつくる際には「氏」を統一しなければならないため、戸籍をつくることができず、婚姻を証明できない。法律的な不備があることは明らかだと、素人目にもわかる。

閉廷後、原告側弁護団も興奮気味。裁判長にツッコまれ、国があれだけあたふたすることは非常に珍しいそうだ。

私には、明らかに風穴が開くのが見えたような気がしたのだが。

※これまでの裁判の流れについてはこちらから書面を確認できる。

●別姓訴訟を支える会2018 裁判を追う

https://bessei2018.wixsite.com/bessei2018/trial

※法廷内での会話内容はメモをもとに筆者が書き起こした要旨であり、実際の発言そのままではない。