19日午前、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを発射しました。日本防衛省の発表によると10時15分頃に北朝鮮東部の新浦の付近から2発の弾道ミサイルが東方向の日本海に向けて発射され、日本のEEZ(排他的経済水域)外に着弾。発射位置から韓国軍はSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の可能性が高いと推定しています。(※韓国軍は1発のみ発射と分析)

 このうち1発は水平方向に約600km・最高高度約50kmと弾道ミサイルとしては低い高度を飛翔し、しかも変則軌道が日本防衛省によって確認されています。これは北朝鮮の従来の北極星SLBMでは不可能な飛び方であり、新型SLBMと考えられます。

 北朝鮮の平壌では11日から兵器展示会「自衛2021」が開幕しており、この会場で謎の小型SLBMが公開されています。この新型は従来の北極星より小さく、機首周りの形状は変則軌道が可能なイスカンデル型と同じ特徴を持っていました。この新型SLBMが19日に発射されたものと同一である可能性があります。

北朝鮮が国防展覧会を開催、登場した新型兵器を分析(12日)

北朝鮮KCNA発表より兵器展示会「自衛2021」で登場した謎の新型SLBM
北朝鮮KCNA発表より兵器展示会「自衛2021」で登場した謎の新型SLBM

北朝鮮KCNA発表より兵器展示会「自衛2021」で登場した謎の新型SLBM(拡大)
北朝鮮KCNA発表より兵器展示会「自衛2021」で登場した謎の新型SLBM(拡大)

 「自衛2021」で展示されていた新型SLBMは北極星シリーズで一番小さな北極星1よりもさらに小さく、形状も全く異なっています。ノーズコーンの形状は2段階に角度が変化するイスカンデルと同じバイコニック(bi-conic)型を採用しています。そして1段式の固体燃料ロケットと推定できます。

 ミサイル最後部の翼はグリッドフィン(格子状の翼)を採用しています。グリッドフィンは北極星シリーズやムスダンで採用例がありますが、イスカンデル型などの変則軌道を行う滑空が可能な機動式弾道ミサイルの操舵翼では採用例がありません。

 北朝鮮以外で見ても滑空を行う機動式弾道ミサイルの操舵翼にグリッドフィンを採用した例は無く、イスカンデル類似の機首形状とグリッドフィンの組み合わせで変則軌道を行ったのなら、北朝鮮は新しい方式を開発したことになります。

2021年10月20日追記:19日に発射された新型SLBMは通常型式の操舵翼を装備。

 この新型SLBMは短距離の射程から対韓国用・対日本用と見られ、大気圏外迎撃ミサイルのSM-3では対処できません。現状では大気圏内用迎撃ミサイルのPAC-3、SM-6、そして大気圏外用ですが限定的に低い高度でも機動出来るTHAADで対処することになります。

 しかしPAC-3やSM-6では弾道ミサイル相手の広域防空はできず拠点防空までで、THAADも限定的にしか対応できないので、アメリカ軍で現在開発中の対極超音速兵器迎撃ミサイルを早急に用意しないと広い国土を守れなくなる恐れがあります。

参考:グリッドフィンの例(アメリカ軍の大型爆弾MOAB)

WikipediaよりFl295氏による撮影(パプリックドメインに指定)。MOABの模型の写真
WikipediaよりFl295氏による撮影(パプリックドメインに指定)。MOABの模型の写真