米英仏のシリア武力制裁は巡航ミサイルのみで105発

アメリカ国防総省の報道向け説明図よりシリア武力制裁

 4月14日、化学兵器の使用を続けるシリアのアサド政権に対して米英仏は合同で武力制裁に踏み切りました。アサド政権に協力し現地に展開するロシア軍との直接接触を避けるために、攻撃は全て巡航ミサイルを用いた長距離スタンドオフ攻撃で実施されています。各種合計105発の巡航ミサイルが使用され、1年前のアメリカ単独による武力制裁と比べて2倍近い規模となりました。

紅海の艦艇

  • 米海軍イージス巡洋艦「モンテレー」 トマホーク巡航ミサイル30発
  • 米海軍イージス駆逐艦「ラブーン」 トマホーク巡航ミサイル7発

ペルシャ湾の艦艇

  • 米海軍イージス駆逐艦「ヒギンズ」 トマホーク巡航ミサイル23発

地中海の艦艇

  • 米海軍攻撃原潜「ジョン・ウォーナー」 トマホーク巡航ミサイル6発
  • 仏海軍フリゲート3隻(アキテーヌ級) MdCN巡航ミサイル3発 

※他、護衛艦艇2隻と補給艦1隻

カタール、アル・ウデイド基地

  • 米空軍B-1B大型爆撃機2機 JASSM巡航ミサイル19発

※他、イラクやヨルダンの基地から護衛のF-15戦闘機とF-16戦闘機

キプロス島アクロティリ基地

  • 英空軍トーネードGR.4攻撃機4機 ストームシャドウ巡航ミサイル8発

※他、護衛のユーロファイター戦闘機

フランス本土

  • 仏空軍ラファール戦闘機5機 スカルプ-EG巡航ミサイル9発

※他、護衛のミラージュ2000戦闘機4機、早期警戒管制機2機、空中給油機6機

 驚くべきことに、地中海でシリアに最も近い位置に居て注目されていたアメリカ海軍のイージス駆逐艦「ドナルド・クック」が攻撃に参加していません。そして注目されていなかった紅海とペルシャ湾の艦艇から攻撃が行われています。トマホーク巡航ミサイルの現行型は最大で3000kmもの射程を持つので、確かに紅海や地中海からでも十分に余裕をもって攻撃することが可能です。

 地中海からはアメリカ海軍の攻撃原潜とフランス海軍のフリゲートから攻撃が行われています。イギリス海軍の攻撃原潜は派遣が間に合わず参加していません。フランス海軍はMdCN巡航ミサイルを運用できるアキテーヌ級フリゲートが3隻も参加していますが、たった3発しか撃っていません。予算不足でミサイルの調達数が不足している可能性があります。

 航空基地からはカタールのアル・ウデイド基地からアメリカ空軍のB-1B大型爆撃機が投入されました。B-1Bは1機あたり最大24発のJASSM巡航ミサイルを搭載可能なので、2機で19発という数はフル搭載ではありません。イギリス空軍のキプロス島アクロティリ基地はシリアと近く、トーネードGR.4攻撃機は1機あたり2発のストームシャドウ巡航ミサイルを搭載しました。フランス空軍は本土の基地から往復10時間の長距離作戦を実施したので、空中給油機を6機用意して空中給油は5回(行きに3回、帰りに2回)実施しています。ラファール戦闘機5機はスカルプ-EG巡航ミサイルを2発ずつ搭載し、合計10発中1発に不具合が生じ、9発が目標に向かいました。

 なお攻撃の成果に対して、ロシア軍参謀本部のルツコイ作戦総局長は「シリア軍は100発中71発の巡航ミサイルを撃墜して攻撃の大部分を阻止した」と主張していますが、対するアメリカ軍のマッケンジー統合参謀本部事務局長は「シリア側の40発の迎撃ミサイルは巡航ミサイル着弾後に無意味に発射され、誘導されずにそのまま落下した」と説明しています。なおロシア軍の展開する区域には攻撃は仕掛けられず、ロシア軍による迎撃は行われていません。

(2018年4月16日、フランス空軍攻撃隊の編成を正しいものに修正)