世界で類をみない積算の降雪が6メートルの200万都市である札幌で「雪まつり」が開幕
世界的に類をみない豪雪の大都市
札幌の一冬の積算降雪量(冬季間の毎日の降雪量を積算した値)は、平年で597センチとなっています。
世界的にみると、積算降雪量が600センチ(6メートル)を超えている所もありますが、ほとんど人が住んでいないところで、多くの人が住んでいる都市ではありません。
例えば、アメリカのニューヨークでは56センチ、カナダのモントリオールで210センチ、オーストリアのウィーンで172センチ、ロシアのサンクトペテルブルクで300センチ、モスクワで72センチなどで、札幌よりはるかに少ない値です。
つまり、人口195万人の大都市、札幌は、世界で類をみない大雪が降る大都市です。
この札幌で、昭和25年(1950年)に始まった「さっぽろ雪まつり」が、今年も2月4日(日)から11日(日)まで、札幌市大通公園など3か所の会場で開催されます(タイトル画像)。
北海道内のみならず、日本全国や海外から、およそ200万人もの観光客が訪れるという、北海道で最も大規模なイベントの一つですが、祭りの大きな目玉は陸上自衛隊が大通公園で製作する大雪像などの大雪像群です。
陸上自衛隊北部方面隊は、「野戦築城訓練」の名目で雪まつりの雪像製作に協力しています。
陸上自衛隊が大通公園で雪像製作を最初に行ったのは昭和30年(1955年)からですが、それ以外の民間が担当する大雪像も、長年の経験を持つ自衛隊OBが協力しています。
雪像作りには大量の雪が必要
札幌市で多くの雪が降る理由は、シベリアの寒気が、北海道西岸を流れている対馬暖流によって下層から水蒸気の補給を受けて積乱雲が発達したためです。これによって札幌市などの日本海側に大雪を降リます。
しかし、年によっては、雪が少なくて札幌市周辺だけでは雪像を作るための雪が不足することがあります。この場合は、遠くから雪を運んでくるという作業が加わります。
記録的な雪不足となった4年前、令和2年(2020年)は、遠くの新篠津村や喜茂別町から積雪を運んでいます。
ただ、この年は、開催期間中に大雪となり、関係者は別の意味の苦労もしました。
今冬の札幌の初雪は、平年(11月1日)より10日遅い、令和5年(2023年)11月11日でした。
また、気温が低いときの初雪で、初積雪も11月11日と、こちらは、平年(11月12日)より1日早くなっています。
しかし、初雪が降った後は、あまり雪が降らず、札幌市では令和6年(2024年)の年始に、札幌市内だけでは必要な雪の量を確保できない懸念から、比較的積雪が多い美唄市などと雪確保のための調整を進めていました(図1)。
ですが、1月中旬以降の降雪で、4年前のような雪不足の懸念はさり、その後は順調に雪像作りが進んでいます。
「さっぽろ雪まつり」期間中の天気予報
「さっぽろ雪まつり」が開幕する2月4日は、北日本を中心に西高東低の冬型の気圧配置となり、寒気が南下しますが、等圧線の間隔が広く、風はそれほど強くない見込みです(図2)。
その後、日本の南岸を低気圧が周期的に通過し、来週の週初めには関東でも雪の可能性があります。札幌では火曜日頃に冬型の気圧配置が少し弱まり、日が差す日もありますが、曇りの日がほとんどの見込みです(図3)。
今年の「さっぽろ雪まつり」は、季節外れの暖かさで雪像が解けることもなく、雪像に大雪がかぶさることも、暴風雪が観光客を悩ますこともなさそうで、まずまずの天候に恵まれそうです。
タイトル画像の出典:筆者撮影。
図1の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。
図2の出典:気象庁ホームページ。
図3の出典:ウェザーマップ提供。