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週明けの雨までは続く今回の寒さ

饒村曜気象予報士
日本海の寒気吹き出しに伴う雲と風の収束線(12月1日12時)

強い寒気の南下

 令和5年(2023年)11月29日頃から南下してきた強い寒気によって、北日本を中心に西高東低の冬型の気圧配置となり、北日本や北陸~山陰では雪や雨が降り、雷を伴って激しく降る所もありました(タイトル画像)。

 12月1日に新潟市で平年より5日遅く初雪を観測しましたが、今年の初雪は、北日本〜北陸では平年より遅く、西日本では逆に平年より早くなっています(図1)。

図1 各地の初雪(平年より早い地方を寒色系、遅い地方を暖色系で表示)
図1 各地の初雪(平年より早い地方を寒色系、遅い地方を暖色系で表示)

 全国的に記録的な暑さが長引きましたが、冬の訪れが遅れているのは北日本〜北陸だけです。

 西日本では一気に冬が訪れ、記録的に短い秋となりました。

 令和5年(2023年)は、9月20日に最高気温が30度以上という真夏日が全国で224地点(気温を観測している914地点の約25パーセント)となるなど、記録的な残暑が続いていましたが、10月に入ると、真夏日はほとんど観測されなくなりました。

 また、最高気温が25度以上という夏日は、11月に入っても多くの地点で観測される日がありましたが、11月6日に303地点(約33パーセント)を観測したのを最後に、急減しています。

 変わって、強い寒気が周期的に南下してきたことに対応し、11月11日~16日、24日~27日には冬日が急増しています。

 そして、11月29日以降の寒気南下で冬日が増加していますが、寒気南下のたびに、一段と冬日が増加しています(図2)。

図2 真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(9月1日~12月4日、12月2日以降は予測)
図2 真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(9月1日~12月4日、12月2日以降は予測)

 12月1日に最高気温が25度以上の夏日を観測した地点はなく、最低気温が0度未満の冬日を観測したのが417地点(約46パーセント)となりました。

 日本の上空約5500メートルの気温分布をみると、大雪の目安となっている氷点下36度以下の強い寒気はオホーツク海に去る見込みですが、平地でも雪となる目安の氷点下30度以下の寒気は北日本からなかなか去りません(図3)。

図3 上空約5500メートルの気温分布(左は12月1日朝の解析、右は3日朝の予想)
図3 上空約5500メートルの気温分布(左は12月1日朝の解析、右は3日朝の予想)

 このため、土日も気温が低く、全国で400地点以上(約44パーセント以上)が冬日となる見込みです。

 寒さが、少し和らぐのは週明けになりそうです。

札幌と東京の気温の推移

 札幌では11月25日に最高気温が氷点下1.4度と、最高気温が0度に達しない真冬日となったあと、28日には最高気温が12.1度に急上昇しています。

 そして、その後気温が急下降し、11月30日、12月1日と連続で真冬日となっています(図4)。

図4 札幌の最高気温と最低気温の推移(12月2日〜8日は気象庁、12月9日〜17日はウェザーマップの予報)
図4 札幌の最高気温と最低気温の推移(12月2日〜8日は気象庁、12月9日〜17日はウェザーマップの予報)

 札幌の11月下旬は、気温の変動が非常に大きくなっており、12月4日以降には最高気温が10度近くまで上昇しますので、衣服をこまめに調整するなどで、体調維持に努めてください。

 また、札幌ほどではありませんが、東京でも似た傾向がでています。

 11月26日に最高気温が9.5度と寒い一日となったあと、28日には最高気温が22.5度まで急上昇しています(図5)。

図5 東京の最高気温と最低気温の推移(12月2日〜8日は気象庁、12月9日〜17日はウェザーマップの予報)
図5 東京の最高気温と最低気温の推移(12月2日〜8日は気象庁、12月9日〜17日はウェザーマップの予報)

 12月2日の最低気温の予報は4度と、今冬一番の寒さとなる見込みです。

 暑い暑いと言っているうちに、今年も師走となり、師走らしい寒さになる見込みです。

タイトル画像、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図4、図5の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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