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関東甲信などで梅雨明け 台風5号の影響で九州のみ梅雨明けしない異例の年に

饒村曜気象予報士
水しぶき スプラッシュ 夏 青空 太陽(写真:イメージマート)

各地で梅雨明け

 令和5年(2023年)7月22日、気象庁は関東甲信、東北南部、東北北部で梅雨明けしたと見られると発表しました(表)。

表 令和5年(2023年)の梅雨入りと梅雨明け
表 令和5年(2023年)の梅雨入りと梅雨明け

 前日の21日に四国、北陸で、前々日の20日に中国、近畿、東海で梅雨明けが発表となっていますので、梅雨明けをしていないのは、九州北部と九州南部だけになります。

【追記(7月23日12時)】

 気象庁は7月23日11時に九州南部が梅雨明けしたと発表しました。これで梅雨明けをしていないの九州北部のみとなりました。

 例年であれば、沖縄・奄美地方以外では一番早く梅雨明けをする九州南部が一番遅れているのは、フィリピンの東で7月21日9時に発生した台風5号周辺の暖湿気流が北上し、九州付近だけ梅雨前線の南下が遅れたからです(図1)。

図1 地上天気図(7月22日9時)
図1 地上天気図(7月22日9時)

 令和5年(2023年)の梅雨明けは、多くの年のように太平洋高気圧が強まって梅雨前線を押し上げての梅雨明けではありません。

 梅雨前線が日本の南海上に南下し、そこで弱まって消滅することでの梅雨明けで、天候不順な夏になることが多い梅雨明けです。

 とはいえ、各地の天気予報を見ると、各地とも、晴れて気温が高い日が続く見込みです(図2)。

図2 各地の天気予報(7月23日~29日は気象庁、30日以降はウェザーマップの予報で数字はともに最高気温)
図2 各地の天気予報(7月23日~29日は気象庁、30日以降はウェザーマップの予報で数字はともに最高気温)

 東京や名古屋では、7月25日以降、最高気温が35度以上の猛暑日が続く予報ですし、大阪は7月23日以降の10日間で9日も猛暑日の予報です。熱中症対策が必須な梅雨明けとなりました。

 一方、石垣島では7月25日から雨が続く予報ですが、これは、北上してくる台風5号の影響です。

 そして、西日本から東日本の高温も、台風5号の中心付近の上昇流がその北東側で下降して太平洋高気圧を強めていることとも関連していますので、梅雨明け後の天気のカギは台風5号の動向です。

台風5号の進路予報

 7月21日9時にフィリピンの東で発生した台風5号は、台風は発達する目安とされる海面水温27度を上回る海面水温29度以上という海域を西へ進んでいます。

 そして、発達しながらフィリピンの東を西よりに進み、その後進路を北よりに変えて、7月26日には非常に強い勢力で沖縄の南に達する見込みです(図3)。

図3 台風5号の進路予報(7月22日21時の予報)
図3 台風5号の進路予報(7月22日21時の予報)

 沖縄県与那国島地方が暴風域に入る確率が一番高くなるのは、7月26日夜遅くで、この頃に台風5号が最接近と思われます(図4)。

図4 沖縄県石垣市と与那国島地方が暴風域に入る確率(7月22日21時の予報)
図4 沖縄県石垣市と与那国島地方が暴風域に入る確率(7月22日21時の予報)

 暴風域に入る確率の最大値が与那国島地方で22パーセント、石垣市で12パーセントとまだ高くないのは、4日先の話であり、まだまだ予報円が大きいからです。

 また、台風の進路によっては、台風周辺の雨雲が北上してくる九州や四国地方でも雨に注意が必要となります(図5)。

図5 雨と風の分布予想(7月26日3時の予想)
図5 雨と風の分布予想(7月26日3時の予想)

 台風5号の予報円は、比較的大きく、進路予報に幅がありますので、沖縄県では、最新の台風情報を入手し警戒してください。また、西日本も今後の天気予報に注意してください。

図1、図4、表の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3、図5の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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