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初夏を思わせる晴天と気温上昇 今週は関東の内陸部で5月の猛暑日

饒村曜気象予報士
初夏の日差しを気にする日本人女性旅行者(写真:アフロ)

令和5年(2023年)の夏日

 令和5年(2023年)は、4月20日に374地点(気温を観測している全国914地点の約41パーセント)で最高気温が25度以上となって夏日となりました。

 5月5日も4月20日にはわずかに及びませんが、371地点(約41パーセント)で夏日を観測しました。

 季節を先取りする形で暖かくなってきたのですが、5月9日頃からは寒気が入ってきて朝晩に気温が下がって氷点下という冬日を観測するようになり、夏への歩みが一歩後退しています(図1)。

図1 夏日と冬日の観測地点数の推移(令和5年3月1日~5月15日)
図1 夏日と冬日の観測地点数の推移(令和5年3月1日~5月15日)

 一方で、日中の日射で夏日を観測する地点も増えてきました。

 このことは、寒暖差が大きかったことの反映ということもできるでしょう。

 5月14日頃までは日本付近に前線が停滞し、東日本を中心に気温が上がらない状態が続いていましたが、5月15日は、南岸を低気圧が通過した後、西日本から晴天域が広がってきました(図2)。

図2 西日本から広がってきた晴天域(5月15日15時)
図2 西日本から広がってきた晴天域(5月15日15時)

 このため、西日本を中心に晴天域が広がり、夏日を162地点(約18パーセント)で観測していますが、冬日を観測した所はありませんでした。

 5月16日は、北日本は雲の多い天気となりますが、西日本から東日本では晴れる所が多くなり、夏日を観測する地点数が500地点くらいになる見込みです(図3)。

図3 最高気温の予想(5月16日)
図3 最高気温の予想(5月16日)

 4月20日や5月5日に夏日を観測した地点数を大きく上回って、今年一番の暑さになる可能性があります。

 また、岐阜や京都、福岡などでは最高気温が30度以上の真夏日となる予想です。

南高北低の夏型の気圧配置

 大型連休(ゴールデンウィーク)の頃までは、低気圧と高気圧が交互に通過するという春の気圧配置でしたが、今週は「南高北低の夏型の気圧配置」となる見込みです(図4)。

図4 予想天気図(5月17日9時の予想)
図4 予想天気図(5月17日9時の予想)

 日本の南の高気圧は、夏の太平洋高気圧には及びませんが、一時的にせよ、日本付近に暖かい空気を北上させ、日射によって5月17日の気温は、今年一番が予想されている5月16日よりも高くなる見込みです。

 特に、関東地方内陸部では、最高気温が35度以上の猛暑日の予想となっています(図5)。

図5 最高気温の予想(5月17日)
図5 最高気温の予想(5月17日)

 群馬県の前橋は、明治30年(1897年)から126年の気象観測のデータがありますが、これまでの5月の最高気温の記録は36.5度です。

 前橋の5月17日の最高気温の予報は35度(誤差幅を考えると32度から36度の間)ですから、これまでの記録にかなり迫るという、かなりインパクトのある予報です。

 暑さに慣れていない時季の記録に迫る高温ですので、熱中症の危険性が非常に高く、17日の関東内陸部の高温については、注意する必要があります。

 熱中症予防のポイントは、水分・塩分の補給、こまめな休憩、冷房の使用の3つです(図6)。

図6 熱中症予防のポイント
図6 熱中症予防のポイント

東京の最高気温と最低気温

 東京では、曇りや雨の日が続き、ここ一週間くらい気温が上がらない日が続いていましたが、5月16日の最高気温の予報は26度で、10日ぶり8回目の夏日になりそうです(図7)。

図7 令和5年(2023年)春の東京の最高気温と最低気温の推移(5月16~22日は気象庁、5月23日以降はウェザーマップの予報)
図7 令和5年(2023年)春の東京の最高気温と最低気温の推移(5月16~22日は気象庁、5月23日以降はウェザーマップの予報)

 そして、5月17日の最高気温の予報は30度と、今年初の真夏日になりそうです。

 全国的に初夏の高温に注意の一週間です。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2、図3、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図4の出典:気象庁ホームページ。

図7の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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