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春を通り過ぎて早くも初夏 東京都心でも今年2回目の最高気温が25度以上の夏日か?

饒村曜気象予報士
初夏の公園に芝生の上でくつろぐ日本人女性(写真:アフロ)

移動性高気圧の後面

 今週は大きな移動性高気圧の後面に入り、気温が平年より高い晴天の状態で始まりました。

 11日(火)も、高気圧後面ですが、日本海に前線が進んでくるため、前線に向かって南風が強まり、暖気の北上が一層強まる見込みです(図1)。

図1 予想天気図(4月11日9時の予想)
図1 予想天気図(4月11日9時の予想)

 このため、全国的に気温は前日以上に上がる見込みです。

 とくに、フェーン現象が発生する東北南部や東日本を中心に、最高気温が25度以上の夏日となる所がありそうです。

 4月11日の予想最高気温をみると、福島県や宮城県などでは、春を通り越して初夏の気温です。

【4月11日の予想最高気温】

27度  沖縄県・石垣島

26度  福島県・福島  埼玉県・秩父  富山県・富山、伏木

    沖縄県・那覇、宮古島、与那国島

25度  宮城県・白石  福島県・若松  埼玉県・さいたま、熊谷

    東京都・東京  長野県・長野  山梨県・甲府

石川県・金沢  兵庫県・豊岡  奈良県・奈良

島根県・松江  鳥取県・米子  沖縄県名護、久米島

 東京都心でも、今年3月24日の25.0度に次ぐ、今年2回めの夏日になりそうです。

【追記(4月11日15時)】

 4月11日の東京の気温は、12時9分に25.0度を観測しましたので、日最高気温は25度以上となることから、今年2回目の夏日となりました。

東京の気温変化

 令和5年(2023年)の東京は、1月下旬~2月上旬にかけて厳しい寒さがあったものの、2月に入ると暖かい日が多くなり、3月には記録的な暖かさとなっています(図2)。

図2 東京の最高気温と最低気温の推移(4月11日~17日は気象庁、4月18日~23日はウェザーマップの予報)
図2 東京の最高気温と最低気温の推移(4月11日~17日は気象庁、4月18日~23日はウェザーマップの予報)

 このため、3月14日には過去最早タイでさくらが開花しています。

 そして、さくらの開花後にちょっとした寒気が南下してきたため花冷えとなり、開花から満開の期間が少し長くなっています。

 また、3月22日の満開の後にも寒気が南下してきたため、再度の花冷えとなり、見頃が終わるまでの期間が少し延びていますが、例年に比べれば、早いさくらの季節の終わりでした。

 そして、今後は、雨が降っても最高気温、最低気温ともに平年より高い日が続く予報となっています。

周期的な天気変化

 今週初めの初夏を思わせるような晴天は長続きせず、4月12日(水)は寒冷前線が日本列島を通過する見込みです(図3)。

図3 予想天気図(4月12日9時の予想)
図3 予想天気図(4月12日9時の予想)

 このため、12日は寒冷前線に伴う雨雲が通過し、日本海側を中心に雨が強まる見込みですが、寒冷前線が通過しても、気温が下がるのは一時的という予報です。

 そして、13日(木)は移動性高気圧に覆われて晴れて気温が上昇しますが、週末は再び低気圧の通過で雨の見込みです(図4)。

図4 各地の週間天気予報(数字は最高気温)
図4 各地の週間天気予報(数字は最高気温)

 全国的に気温が高い日が続きますが、特に来週の西日本は顕著ということから、気象庁では、「高温に関する早期天候情報」を発表し、中国、四国、九州北部(山口県を含む)、九州南部・奄美では、農作物の管理等に注意するよう呼びかけています。

 令和5年(2023年)は、さくらの季節が記録的に早く進み、早くも初夏の様相となっており、短い春になりそうです。

図1、図3の出典:ウェザーマップ提供資料に筆者加筆。

図2の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料に筆者加筆。

図4の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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