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今週末の4月並みの陽気と共通テストの日の雨、来週の真冬の寒さ

饒村曜気象予報士
日本のはるか東の発達した低気圧の雲の渦と減ってきた日本海の雪雲(1月11日9時)

大きな移動性高気圧

 成人の日(1月9日)に北日本を通過した低気圧が日本のはるか東から千島の東で猛烈に発達し、日本付近を大きな移動性高気圧が通過中です(タイトル画像参照)。

 このため、西日本や東~北日本の太平洋側は概ね晴れ、東~北日本の日本海側でも、にわか雨やにわか雪の範囲が狭まってきました。

 気温は全国的に平年より高くなっていますが、この移動性高気圧が日本の東に移動するあす以降は、高気圧後面に入り、南からの暖気が北上しやすくなります(図1)。

図1 予想天気図と暖気の北上(1月12日21時の予想)
図1 予想天気図と暖気の北上(1月12日21時の予想)

 ほぼ全国的に晴れて日々気温が上昇し、日本海に低気圧が進んでくることで南からの暖気移流が強まる週末は、4月並みの気温にまで上昇する見込みです。

 北日本や北陸では1メートル以上の積雪がありますが、これらの多雪地帯では融雪が一気に進み、なだれや落雪が発生しやすくなりますので十分注意してください(図2)。

図2 各地の積雪の深さ
図2 各地の積雪の深さ

 地表から1000メートル位迄の大気は大気境界層と呼ばれ、地表面との摩擦が大きく、地表面の凹凸などのちょっとしたことで気温や風が変化しています。

 そこで、天気予報では自由大気とよばれる地表から1000メートル以上の大気を使って予測し、その結果をもとに私たちが生活している地表付近の天気などの予報が行われます。

 地上付近の気温を予測するときは、自由大気の中で一番地表に近い、上空約1500メートルの気温をもとにしています。

 この地上約1500メートルの気温分布予想をみると、1月13日(金)朝には氷点下9度という等温線がサハリン南部から千島南部まで北上しています(図3)。

図3 上空約1500メートルの気温分布予報(1月13日朝の予報)
図3 上空約1500メートルの気温分布予報(1月13日朝の予報)

 私たちが生活している対流圏では、平均すると1キロ高くなると6度気温が下がりますので、上空約1500メートルで氷点下9度というと、地表付近では0度となります。

 つまり、サハリン南部から千島南部まで0度以上となりますので、北海道で降水現象があれば、雪ではなく雨として降る可能性が高いことを示しています。

大学入試共通テストの日は全国的に雨

 令和5年1月14日(土)と15日(日)は、大学教育で必要とされる「思考力・判断力・表現力」等を多面的・総合的に評価する試験、つまり、大学入試共通テストが実施される日です。

 この共通テストの日は、低気圧の通過で全国的に気温が平年より高くなりますが、同時に、全国的に雨が降る見込みとなっています(図4)。

図4 各地の天気予報(1月14日)
図4 各地の天気予報(1月14日)

 試験に万全の体制で臨むため、大きな気温変化で体調を崩さないように注意し、当日は時間的な余裕を持ち、雨具を持参して日ごろの力を発揮してください。

 東京など乾燥状態が続いていた関東地方でも、共通テストの日に雨が降り、これまで続いていた乾燥状態は一服する見込みです。

記録的な東京の無降水の継続日数

 東京で気象観測が始まったのは、明治8年(1875年)6月5日以降ですが、無降水(雨が一滴も降らない)の継続日数の統計は明治19年(1886年)からです。

 それでも137年という長い期間の間に、無降水の継続日数が20日以上であったのは、たった6回しかありません。

 そして、令和4年(2022年)12月23日から続いている無降水日数は、1月11日で20日となり、7回目の事例となりました。

 1月14日(土)に雨がパラついた場合は22日間の継続と歴代2位になります。

 1月14日も無降水なら23日間となり、昭和31年(1956)12月10日から昭和32年(1957年)1月1日までの23日間と並ぶ1位タイとなります。

 いずれにしても、記録的な無降水が続き、空気の乾燥が続いているのです。

 東日本太平洋側の共通テストの日の雨は、量はそれほど多くないと思われますので、雨が降るといっても、東日本太平洋側の乾燥状態が十分には解消されません。

 引き続き火の取り扱いには十分に注意をして下さい。

来週は寒気南下

 共通テストの日に雨をもたらした低気圧が通過した後、今冬一番かもしれない強い寒気が南下してくる予報です。

 日本上空約1500メートルの気温分布をみると、1月13日朝にサハリン南部から千島南部にあった氷点下9度線は、16日(月)には仙台から新潟まで南下してきます(図5)。 

図5 上空約1500メートルの気温分布予報(1月16日夜の予報)
図5 上空約1500メートルの気温分布予報(1月16日夜の予報)

 東京の最高気温の推移をみると、周期的に南下する寒気によって12月6日と、21日、23日、1月6日、10日に最高気温が10度を下回っています。

 そして、1月14日(土)に17度と春のような季節外れの暖かさになったあと、17日(火)には、10度を下回る予報となっています(図6)。

図6 東京の最高気温と最低気温の推移(1月12日~18日は気象庁、1月19日以降はウェザーマップの予報)
図6 東京の最高気温と最低気温の推移(1月12日~18日は気象庁、1月19日以降はウェザーマップの予報)

 ただ、寒くなるといっても平年並みの寒さで、東京では12月中旬からクリスマスの頃の寒さには及ばない見込みです。

 一方、北日本は12月中旬からクリスマスの頃の寒さよりは冷え込み、今冬一番の寒さになると考えられます(図7)。

図7 札幌の最高気温と最低気温の推移(1月12日~18日は気象庁、1月19日以降はウェザーマップの予報)
図7 札幌の最高気温と最低気温の推移(1月12日~18日は気象庁、1月19日以降はウェザーマップの予報)

 来週南下してくる寒気は北日本中心と考えられますが、各地とも、真冬から春を経て真冬と、大きな気温変化の一週間です。

 体調管理に十分注意してください。

タイトル画像、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図3、図5の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図6、図7の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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