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豊島将之九段、伊藤真吾六段を降して通算600勝達成! 藤井聡太王座への挑戦権を争うトーナメント1回戦

松本博文将棋ライター

 5月22日。大阪・関西将棋会館において第72期王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦▲豊島将之九段(34歳)-△伊藤真吾六段(42歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は20時13分に終局。結果は89手で豊島九段の勝ちとなりました。

 2007年4月に棋士となった豊島九段は、本局の勝利で通算600勝(309敗、勝率0.660)を達成。史上62人目となる「将棋栄誉賞」受賞者となりました。

 藤井聡太王座への挑戦権を争うトーナメントはこれでベスト8が出揃いました。2回戦(準々決勝)の対戦カードは以下の通りです。

豊島 将之九段-広瀬 章人九段

糸谷 哲郎八段-羽生 善治九段

佐々木大地七段-鈴木 大介九段

菅井 竜也八段-永瀬 拓矢九段

豊島九段、ベスト8進出

 豊島九段は過去に2回、五番勝負に登場しています。2014年は羽生善治王座に挑戦し、2勝3敗で敗退。2022年は永瀬拓矢王座に挑戦し、1勝3敗(1千日手)で敗退しています。

 昨年は挑戦者決定戦に進出。藤井聡太七冠(当時)と将棋史に残る名勝負を演じた末に敗れています。

 伊藤六段はYouTuberとしても活躍中です。

 伊藤六段は今期王座戦、一次予選で星野良生五段、田中悠一六段、門倉啓太五段、高野智史六段に勝利。二次予選で飯島栄治八段、斎藤明日斗五段に勝って、初めて本戦に進みました。

 本局は豊島九段先手で相居飛車の戦いに。豊島九段は左美濃、伊藤六段は新型雁木に組みました。

 豊島九段が仕掛けて、本格的な戦いが始まります。43手目、豊島九段は飛車を捨てる猛攻に出ました。

 豊島九段の踏み込みは功を奏し、しばらくは豊島九段リードの進行が続きます。

 しかし伊藤六段も辛抱を続け、形勢は不明となりました。

 2図は67手目、豊島九段がと金を引いたところです。

 ここではじっと△4三玉と上がる手が優ったようです。

 本譜、伊藤六段は△5五歩と突いて攻めに出ました。これもよさそうな手ですが、飛車取りの▲8六香がきびしい。以下△7六桂▲同桂△7五飛の返し技はありますが、豊島九段は▲5五銀から駒を清算したあと、▲4七桂の飛龍両取りを実現させました。

 伊藤六段は攻防ともに見込みがなくなったところで潔く投了を告げています。

 豊島九段は節目となる通算600勝を達成。今年度公式戦の成績も6連敗から2連勝と巻き返してきました。

 現在、名人戦七番勝負で藤井名人に挑戦中の豊島九段。これから5月26日・27日におこなわれる第5局に臨みます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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