Yahoo!ニュース

日曜の雨まで続く湿度が低く過ごしやすい晴天、来週は一段の気温低下

饒村曜気象予報士
青空の秋晴れに美しく咲く秋桜(日本、福岡県)(写真:イメージマート)

移動性高気圧が次々に通過

 大きな移動性高気圧に覆われ、西~北日本の広い範囲で晴れ、全国的に気温は平年より高くなっています。

 大陸育ちの高気圧であるため、湿度が低く、過ごしやすい天気が続いているところが多いのですが、高気圧の南縁にある南西諸島は雲が多く、所により雷という天気が続く見込みです。

 この高気圧が東海上に去った後、北海道は低気圧に伴う前線が通過し、次の移動性高気圧との間に入りますので、北陸や北日本では雲が広がりやすく、所によりにわか雨や雷雨があるでしょう。

 しかし、西日本や東日本の太平洋側では、次の移動性高気圧に覆われ、概ね晴れが続く見込みです(図1)。

図1 予想天気図(左は11月10日9時、右は11月11日9時の予想)
図1 予想天気図(左は11月10日9時、右は11月11日9時の予想)

 令和4~5年(2022~23年)の冬は、10月25~27日の寒気南下で始まったといえます。最低気温が氷点下となる冬日が、全国の約20パーセントで観測されました(図2)。

図2 夏日と冬日の観測地点数の推移(10月16日~11月9日)
図2 夏日と冬日の観測地点数の推移(10月16日~11月9日)

 このときの寒気南下の数日前には、最高気温が25度以上の夏日が、全国の20パーセント以上で観測されていますので、10月下旬の寒さは、実際の温度以上に寒く感じた人が多かったのではないでしょうか。

 その後、しばらくは冷え込まなかったのですが、立冬(11月7日)前後に寒気が南下して冬日を観測した地点数が一時的に増えています。

 暦通り、冬の気配が漂ってきたのですが、寒さは長続きしませんでした。

週末の前線を伴った低気圧

 移動性高気圧が次々に通過し、さわやかな晴天が続いたところが多かった日本列島ですが、11月11日(金)に中国東北区に出現する低気圧が週末に発達しながら北日本に接近し、11月13日(日)には通過する見込みです(図3)。

図3 コンピュータが計算した11月13日9時の予想地上気圧配置と降水域
図3 コンピュータが計算した11月13日9時の予想地上気圧配置と降水域

 このため、全国的に雨の日曜日となり、北海道は強い風が吹く見込みです。

 気象庁は早期注意情報を発表し、5日先までの警報級可能性を「高」と「中」の2段階で予想していますが、11月13日は、現段階でも、北海道の日本海側が「中」となっています(図4)。

図4 暴風に関する早期注意情報(11月13日の警報級の可能性)
図4 暴風に関する早期注意情報(11月13日の警報級の可能性)

 各地の天気予報をみると、11月13日(日)は南西諸島を除いてほぼ全国的に雨となり、北海道は雪のところもある予報です(図5)。

図5 各地の天気予報(11月10~16日は気象庁、17~19日はウェザーマップの予報、数字は最高気温)
図5 各地の天気予報(11月10~16日は気象庁、17~19日はウェザーマップの予報、数字は最高気温)

 そして、日曜の雨を境として北から寒気が南下し、西日本から東日本の太平洋側では22度前後あった最高気温が18度前後に下がって秋が一段と深まる見込みです。

 また、東日本の日本海側から北日本の日本海側では、西高東低の気圧配置となって雨や雪が降って、初冬らしさが増してくるでしょう。

東京の気温変化

 東京の最高気温と最低気温の推移をみると、10月5日までは最高気温が25度以上の日が多く、秋の始まりが遅れていました。

 それが、10月7日には最高気温が13.3度と初冬の気温となり、その後気温が少し上がって秋の気温となっています(図6)。

図6 東京の最高気温と最低気温の推移(11月10~16日は気象庁、11月17~25日はウェザーマップの予報)
図6 東京の最高気温と最低気温の推移(11月10~16日は気象庁、11月17~25日はウェザーマップの予報)

 しかし、11月13日以降は気温が下がり、11月15日の最高気温が14度と初冬の気温の予報です。

 令和4年(2022年)は、長い夏のあとの短い秋が終わろうとしています。

図1の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図6の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

饒村曜の最近の記事