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寒暖差の激しい一週間で東京は11月の気温

饒村曜気象予報士
気象衛星から見た日本海の筋状雲(10月5日15時)

寒冷前線の南下

 寒冷前線が日本海側から太平洋側まで本州を南下したため、夏を思わせるような週明けとは異なり、北からこの時期としては強い寒気が南下してきました(図1)。

図1 地上天気図(10月5日21時)
図1 地上天気図(10月5日21時)

 気象衛星から見ると、日本海には寒気の南下を示す筋状の雲がみえます(タイトル画像参照)。

 筋状の雲の発生している海域が大陸に近いほど強い寒気ということができますが、今回は、大陸から離れていますので、それほど強いものではありません。

 しかし、厳しい残暑のあとの寒気南下ですので、体感的には非常に寒く感じられたと思います。

 最高気温が35度以上の猛暑日は、9月19日を最後に観測されていませんし、最高気温が30度以上の真夏日も、9月中旬以降は、全国の気温観測地点(913地点)の半数に達していません(図2)。

図2 全国の猛暑日と真夏日の推移(令和4年(2022年)8月1日~10月5日)
図2 全国の猛暑日と真夏日の推移(令和4年(2022年)8月1日~10月5日)

 10月4日に201地点(約22パーセント)が真夏日を観測しましたが、これが、残暑の最後といってよいでしょう。

 本格的な秋が到来しました。

気温の日変化

 気温の日変化をみると、一日のうちで一番低いのが明け方、一番高いのが昼過ぎということが多く、気象庁が夕方発表する「あすの天気予報」は、最低気温というのは6時までの最低気温、最高気温というのは6時以降の最高気温です。

 しかし、10月5日のように寒気がどんどん南下している時は、明け方より日中のほうが低い気温となるところが多くなります。

 東京の10月5日は、未明が25.2度と一番高く、その後どんどん気温が下がって夜遅くに最低気温14.3度を観測しました(図3)。

図3 東京の気温変化(10月4~8日、内6~8日は予想)
図3 東京の気温変化(10月4~8日、内6~8日は予想)

 一日で10度以上、気温が下がったのです。

 気象庁が10月5日17時に発表した、翌6日の最低気温の予報では、15度となっていますが、あくまで朝の最低気温の予報です。

 夕方にはもっと下がり、12度位になります。

 このように、一日の気温変化が通常と異なっているときは、時系列で表示されている予報(時系列予報)も利用し、寒暖差に注意する必要があります。

寒暖差の激しい一週間

 東京の最高気温と最低気温の推移をみると、今週は特に寒暖差が激しいことがわかると思います(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温の推移(10月6~12日は気象庁、13~21日はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温の推移(10月6~12日は気象庁、13~21日はウェザーマップの予報)

 10月4日の最高気温は、真夏日一歩手前の29.5度でしたが、6日は11月並みの16度まで下がり、11日には再び真夏日一歩前の29度まであがるという大きな変化をします。

 現在は、ネットで調べれば、時系列で気温等が細かく予想されていますので、暖かい服装ででかけるなどの体調管理に、きめ細かい気象情報をお使いください。

タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3、図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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