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台風15号が発生し、秋分の日を含む三連休は大雨に警戒

饒村曜気象予報士
日本の南の熱帯低気圧の雲とフィリピンの東海上の熱帯低気圧の雲(9月22日21時)

移動性高気圧と熱帯域の雲

 令和4年(2022年)の敬老の日(9月19日)を含む三連休を襲った台風14号の通過後、大きな移動性高気圧におおわれ、日本列島は気温が下がって秋本番となりました(図1)。

図1 地上天気図(9月22日15時)
図1 地上天気図(9月22日15時)

 しかし、日本の南海上などの熱帯域はまだ夏です。

 あちこちで積乱雲の塊ができており、このうち、日本の南海上の熱帯低気圧aと、フィリピンの東海上の熱帯低気圧bは、ともに24時間以内に台風に発生する可能性があります。

 日本の南海上の熱帯低気圧と、フィリピンの東海上の熱帯低気圧のどちらが先に台風になるかわかりませんが、先に台風になった方が台風15号、遅く台風になった場合が台風16号ですが、今の所、日本の南の熱帯低気圧の方が先に台風となり、15号と命名されそうです。

 なお、同時に発生した場合は、どちらを台風15号とするのか、明確な基準はありませんが、先に熱帯低気圧となった日本の南海上の熱帯低気圧を15号とする可能性が高いと思われます。

 2つの熱帯低気圧の他に、熱帯域にはいくつもの雲の塊があり、さらに新たな熱帯低気圧が発生するかもしれません(タイトル画像参照)。

 日本の南にある熱帯低気圧(台風)の北上とともに、日本列島に湿った空気が流れ込んできますので、9月23日(金、祝)の秋分の日は、西~北日本でくもりや雨となり、雷を伴った激しい雨が降る所もある見込みです。

 秋分の日を含む三連休は、敬老の日を含む三連休に続いて大荒れになりそうです。

台風が2つ発生

 令和4年(2022年)は、これまでの台風発生が14個と平年より少なく、日本の南海上とフィリピンの東海上の熱帯低気圧がともに台風まで発達したとしても16個で、まだ平年より少ない発生数です(表)。

表 令和4年(2022年)の台風発生数
表 令和4年(2022年)の台風発生数

 しかし、上陸数となると、台風4号が7月5日6時前に長崎県佐世保市付近、台風8号が8月13日17時半頃に伊豆半島、台風14号が9月18日19時頃に鹿児島市付近に上陸と3個あり、早くも平年並みとなっています。

 熱帯低気圧の進路予報を見ると、フィリピンの東海上の熱帯低気圧は、台風になっても、あまり発達することなく西進を続け、フィリピンのルソン島を通過して南シナ海に入る見込みですので、日本へは直接的な影響はないと思われます。

 しかし、日本の南海上の熱帯低気圧は、台風に発達したあと、24日(土)から25日(日)にかけては、台風が西~東日本の太平洋側へかなり接近する見込みです(図2)。

図2 熱帯低気圧の進路予報(9月23日0時)
図2 熱帯低気圧の進路予報(9月23日0時)

 西~東日本の太平洋側を中心に土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水に注意・警戒し、強風や高波に注意してください。

台風14号と台風15号の違い

 台風14号は台風が発達する目安とされる27度を大きく上回る29度位の非常に暖かい海域を進んだことが急発達の一因と考えられていますが、台風15号(?)が進む海域は、台風14号によってかき混ぜられて海面水温が少し下がった海域です。

 このため、猛烈な台風まで発達した台風14号と違い、台風15号(?)は、暴風域を持つところまでは発達しない見込みです。

 とはいっても、北側に強い雨雲を持つ台風ですので、中心が接近する前から強い雨が降りだし、大雨となる可能性があります(図3)。

図3 48時間予想降水量(9月23日0時~24日24時)
図3 48時間予想降水量(9月23日0時~24日24時)

 今後の情報に注意し、早めに防災対策をお願いします。

【追記(9月23日10時)】

 日本の南の熱帯低気圧は、9月23日9時に、室戸岬の南に進んで台風15号になりました。

タイトル画像、図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図1、表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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