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周期的に寒気が南下 週間天気予報の地域細分は平均的に冬型の気圧配置が多くなる時から

饒村曜気象予報士
日本海の寒気の吹き出しに伴う雲(11月11日15時)

周期的に寒気が南下

 11月11日から12日にかけて、日本上空には寒気が流れ込んでいます。

上空5500メートルの気温は、北日本から西日本の日本海側で氷点下24度以下と、この季節にしてはやや強い寒気です(図1)。

図1 日本上空5500メートルの気温予報(左は11月12日朝、右は11月15日朝の予報)
図1 日本上空5500メートルの気温予報(左は11月12日朝、右は11月15日朝の予報)

 このため、西日本から北日本の日本海側は大気の状態が非常に不安定となり、雲が多く、所により雨となっています。

 一方、太平洋側の地方は晴れる所が多くなり、日本列島は2つの異なる天気分布の季節となってきました。

 寒気の南下が、朝鮮半島から日本海西部に偏っていますので、典型的な西高東低の冬型の気圧配置となっているわけではありません(図2)。

図2 予想天気図(11月12日9時の予想)
図2 予想天気図(11月12日9時の予想)

 ただ、これからは、季節が進むにつれ周期的に寒気が南下し、低気圧の位置がもう少し東に位置するようになって典型的な西高東低の冬型の気圧配置となる見込みです。

 まず、次の寒気の南下は週明けの11月15日です。

 図1(右)のように、週明けの寒気は、11月11日から12日に南下した寒気に比べ、氷点下24度以下のやや強い寒気は、東北北部までしか南下してきませんが、氷点下30度以下の強い寒気は北海道に南下してきます。

 北海道は平野部でも雪になるかもしれません。

週間天気予報の地域細分

 気象庁が発表する週間天気予報は、原則として府県毎の区域で予報しています。

 しかし、同じ府県でも、冬型の気圧配置時に日本海側では雪、太平洋側では晴れというように、府県の中で天気が大きく異なる場合があります。

 このため、特定の気圧配置によって府県内の天気が大きく異なる季節は、その季節をとおして、地域細分で発表しています(表)。

表 週間天気予報の地域細分
表 週間天気予報の地域細分

 ただ、岩手県と宮城県では、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」に伴い、岩手県と宮城県では当面の間、一年を通しての地域細分を行っています。

 当面の間という措置が今も続いています。

 また、福島県では、気圧配置が違いますが一年を通して「中通り・浜通り」と「会津」に細分しています。

 さらに、青森県では、気圧配置によって細分の仕方が違いますが、一年を通して細分で週間天気予報が発表されています(図3)。

図3 週間天気予報の青森県の細分区域
図3 週間天気予報の青森県の細分区域

青森県下北半島の週間天気予報

 青森県の地域細分は、12月1日~翌年3月31日は冬型の気圧配置が多いということから、津軽地方と下北地方を一緒にした「津軽・下北」で週間天気予報を発表しています。

 下北半島は、津軽海峡を通って雪雲が入ってきますので、津軽地方と同じ日本海側の気候となるからです。

 しかし、梅雨時などのオホーツク海高気圧による冷涼で湿った空気は、下北地方や三八・上北地方には入ってきますが、津軽地方には入りません。

 このための地域細分ですが、年によっては、3月にオホーツク海高気圧による天気が出現したり、11月に冬型の気圧配置が出現したりして、下北地方が困るケースがでてきます。

 令和3年(2021年)も、11月に冬型の気圧配置が出現していますが、11月30日までは、下北地方は三八上北地方と一緒での発表です。

 図4は、11月11日17時発表の週間天気予報です。

 福島県はお日様マーク(晴れ)が多い予報ですが、中通りの福島と浜通りの小名浜は白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)が多く、黒雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)が多い会津の若松とは違っています。

図4 青森県と福島県のウェザーマップによる週間天気予報
図4 青森県と福島県のウェザーマップによる週間天気予報

 一方、青森県の津軽地方の青森と、下北地方のむつは、ともに傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)が多く、両者は似た天気予報というのが分かると思います。

 お日様マーク(晴れ)や白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)が多い、八戸・上北地方の八戸とは明らかに予報が違います。

 違ってはいますが、天気予報の伝達等の問題で、気象庁は、11月30日までは下北地方と三八上北地方を一緒にした週間天気予報が発表となっています(図5)。

図5 青森県の気象庁による週間天気予報
図5 青森県の気象庁による週間天気予報

 11月から12月、3月から4月に青森県に対する気象庁の週間天気予報を利用する場合には、注意が必要です。

タイトル画像、図1、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図2、図5の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:気象庁ホームページに筆者加筆。

表の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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