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北海道を除いて広い範囲で暑い晴天 南の海では台風のもととなる雲が増加中

饒村曜気象予報士
台風のもととなる雲が増加中の南の海上(10月4日15時)

暑い晴天

 10月4日は、北海道は前線を伴った低気圧が通過したため曇りや雨で、気温は平年並みでしたが、その他の地方は大きな高気圧に覆われて晴天となりました(タイトル画像参照)。

 このため、北海道以外の地方では、台風16号が持ち込んだ暖気に日射が加わって10月とは思えない暑さとなりました。

 気温を観測しているアメダス920地点の約18パーセントにあたる166地点の最高気温は30度を超えた真夏日となりました(図1)。

図1 全国で真夏日を観測した地点数と夏日を観測した地点数の推移
図1 全国で真夏日を観測した地点数と夏日を観測した地点数の推移

 また、約82パーセントの757地点の最高気温は25度を超えて夏日となりました。

 10月4日ほどではなくても、気温が平年より高い状態は10月半ばまで続きそうです。

 そして、10月半ば以降は平年並みの気温に戻りそうです(図2)。

図2 東京の10月の最高気温と最低気温(5日~11日は気象庁、12日~20日はウェザーマップの予報)
図2 東京の10月の最高気温と最低気温(5日~11日は気象庁、12日~20日はウェザーマップの予報)

南の海上

 日本では、夏がなかなか去らない中、南シナ海やフィリピンの東海上という、いわゆる南の海で、台風のもととなる雲が増加しています(タイトル画像参照)。

 南の海は、夏が続いているのです。

 予想天気図を見ると、6日9時には南シナ海に熱帯低気圧があり、フィリピンの東のマリアナ諸島には低圧部があります(図3)。

図3 予想天気図(10月6日9時の予想)
図3 予想天気図(10月6日9時の予想)

 低圧部は周囲より気圧が低い領域ですが、低気圧のように、どこが中心なのかがはっきりしません。

 この低圧部の中のどこかで渦を巻くと熱帯低気圧になり、熱帯低気圧が発達して最大風速が17.2メートル以上になると台風発生です。

 つまり、低圧部は台風のタマゴのもとということもできるでしょう。

 今すぐ台風発生というわけではありませんが、来週には台風発生があるかもしれません。

 その頃から、日本列島に秋雨前線が停滞する可能性があり、台風と前線という危険な組み合わせとなる可能性もあります。

 来週は台風に警戒ということになるかもしれません。

 台風の上陸が一番多いのは9月ですが、近年は、10月に上陸する台風が増加傾向にあります。

 10月も台風シーズンですので、引き続き、南の海に注目です。

タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ資料をもとに筆者作成。

図2の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ資料をもとに筆者作成。

図3の出典:気象庁ホームページ資料に筆者加筆。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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