令和3年(2021年)の梅雨入り

 令和3年(2021年)は、沖縄・奄美地方で平年より早い5月5日に梅雨入りをするなど、西日本から東海地方まで平年より早く梅雨入りしました。

 しかも、西日本から東海地方の梅雨入りは、昭和26年(1951年)に梅雨の統計が始まってからの70年間で、1位か2位という記録的なものでした(表1)。

表1 令和3年(2021年)の梅雨入り
表1 令和3年(2021年)の梅雨入り

 しかし、関東甲信地方以北は梅雨入りが遅れ、関東甲信地方が梅雨入りしたのは、東海地方の梅雨入りから約29日後の6月14日でした。

 これまで最も長かった差は、昭和27年(1952年)と昭和31年(1956年)の18日間ですので、記録的な差です。

 また、関東甲信地方以北は梅雨前線が南海上に遠く離れている状態での梅雨入りで、典型的な梅雨入りではありません。

 大気が不安定となり、雲雨天の日が多くなっての梅雨入りですので、広い範囲で雨が降っているわけではありません。

 晴れの日も多い梅雨期間です。

 梅雨入りの確定値は、今後の再検討を経て、9月初めに発表となります。

 このときには、関東甲信地方の梅雨入りを東海地方の梅雨入り頃まで早める(走り梅雨の期間を梅雨期間とする)とか、逆に、東海地方などの梅雨入りを遅くする(梅雨期間を走り梅雨期間とする)など、梅雨入りの速報値と違ったものになるかもしれません。

 それだけ、令和3年(2021年)の梅雨入りの発表は難しいものでした。

沖縄の梅雨明けは「慰霊の日」から「夏至の日」へ

 平年値は、西暦年の1の位が1の年から続く30年間の平均値をもって平年値とし、10年ごとに更新しています。

 したがって、今年、令和3年(2021年)から新平年値「2020平年値(1991~2020年の観測値による平年値)に切り替えられています。

 梅雨入り・梅雨明けの時期についても同じです。

 沖縄の梅雨入りは、1日遅くなって5月10日に、梅雨明けは、2日早まって6月21日になっています(表2)。

表2 沖縄地方の梅雨入りと梅雨明け
表2 沖縄地方の梅雨入りと梅雨明け

 沖縄地方の梅雨明けが最も早かったのは平成27年(2015年)の6月8日、最も遅かったのは令和元年(2019年)の7月10日です。

 最も早い梅雨明けも、最も遅い梅雨明けも最近のことであることから、近年は沖縄地方の梅雨明けの変動が大きいと考えられます。

 沖縄県では、毎年、6月23日を「慰霊の日」として、沖縄戦で犠牲になった人々に祈りを捧げ、平和を願う休日としています。

 様々な慰霊祭が行われるほか、正午には県内各地で1分間の黙祷が行われます。

 この「慰霊の日」は、長いこと沖縄地方の梅雨明けの平年日で、梅雨期間中に行われた年と梅雨明けに行われた年とが半々でした。

 今後は、梅雨明け後に行われることが多くなりそうです。

 沖縄の梅雨明けの平年日は、6月20日の「夏至の日」となりましたが、令和3年(2021年)は沖縄附近に梅雨前線が停滞し、梅雨明けは遅れそうです(図1)。

図1 予想天気図(6月22日9時の予想)
図1 予想天気図(6月22日9時の予想)

 ウェザーマップの16日間予報を見ると、沖縄県・那覇では今週半ばの6月24日まで、傘マーク(雨)や、黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)が続き、それ以降は、お日様マーク(晴れ)の日や、白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)の日が多くなります(図2)。

図2 那覇の16日間天気予報
図2 那覇の16日間天気予報

 6月25日頃に梅雨明けするかもしれません。

 平年より遅くなりますが、特に遅いというわけではありません(図3)。

図3 沖縄の梅雨入りと梅雨明け
図3 沖縄の梅雨入りと梅雨明け

 ただ、6月29日頃から再度、傘マークや黒雲マークがふえてきますので、これらの雨が止む、7月3日まで梅雨明けが伸びる可能性もあります。

東西方向に伸びていない梅雨前線

 令和3年(2021年)の梅雨は、梅雨入りが例年と違っているだけでなく、梅雨前線が東西方向に伸びていないことが多いという特徴もあります。

 梅雨前線が東西方向に伸びていれば、太平洋高気圧によって梅雨前線が北へ押し上げられると、沖縄地方では梅雨明けで、西日本から東日本では梅雨末期の雨となります。

 しかし、現在の梅雨前線は、東西方向に伸びるというより、沖縄付近から東日本の南海上に向かって東北東から北東に伸びています。

 太平洋高気圧の西日本への張り出しが弱く、梅雨前線が沖縄付近から西日本まで押し上げられないためです。

 降水の有無の信頼度が5段階で1番低いEや、2番目に低いDが多い予報ですが、沖縄の梅雨明けが遅れ、西日本では晴れが多いという天気予報となっています。

 一方で、東日本は前線が押し上げられ、接近していますので、曇りや雨が多い天気予報となっています(図4)。

図4 東京と福岡の16日先までの天気予報
図4 東京と福岡の16日先までの天気予報

 例年とは違った梅雨です。

 加えて、図1の予想天気図では、日本の南海上に低圧部(中心がはっきりしていない周囲より気圧が低い領域)があります。

 この低圧部の中から熱帯低気圧が発生し、梅雨前線を刺激する可能性もあります。

 最新の気象情報に注意してください

タイトル画像、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図3、表1、表2の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。