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寒さ一服するも、今週末は強い寒気が再度の南下

饒村曜気象予報士
西日本から東日本を覆う高気圧(1月13日9時の予想天気図)

寒さ一服

 令和3年(2021年)は、1月8日頃から西高東低の気圧配置が続き、非常に強い寒気が南下して北陸地方を中心に広い範囲で大雪となりましたが、本州の南岸を低気圧が通過することはありませんでした。

 その非常に強い寒気の南下が峠を越えた1月11日には、本州の南岸に低気圧が発生し、三連休明けの12日にかけて本州南岸を通過しました。

 このため、東京で初雪を観測するなど、太平洋側でも雪が降りました。

しかし、この南岸低気圧は、少し暖気も持ち込みましたので、各地の寒さは一服しています。

 図1は、全国の冬日(最低気温が0度未満)と真冬日(最高気温が0度未満)の観測地点数をグラフ化したものです。

図1 全国の冬日と真冬日の観測地点数(12月1日~1月12日)
図1 全国の冬日と真冬日の観測地点数(12月1日~1月12日)

 1月8日は、冬日、真冬日とも、今冬最多を観測しています。

 冬日は気温を観測している919地点のうち862地点(全体の94パーセント)、真冬日は509地点(55パーセント)にも達しています。

 しかし、南岸低気圧が通過した1月12日は、冬日は602地点、真冬日は183地点に減っています。

 1月13日以降、高気圧が西日本から東日本に張り出してきますので、西日本から東日本の太平洋側では最高気温が10度を超え、寒さも一服です。

図2 東京の最高気温と最低気温(1月13日から19日は気象庁、1月20日から28日はウェザーマップの予報)
図2 東京の最高気温と最低気温(1月13日から19日は気象庁、1月20日から28日はウェザーマップの予報)

 東京の最高気温と最低気温の推移をみても、1月8日からは最高気温・最低気温ともに平年値を下回り、厳しい寒さが続いていましたが、1月13日以降は数日は気温が高い日が続きます。

 ただ、北日本と北陸地方にはすぐに寒気が南下してきますので、日本海側の地方を中心に雪が降る日が続きます。

 大雪が降った後の降雪ですので、少しの雪でも被害が発生する可能性がありますので、注意が必要です(図3)。

図3 各地の積雪深(1月12日24時現在)
図3 各地の積雪深(1月12日24時現在)

 また、早めに雪捨て場などを用意しておかないと、除雪に苦労することになります。

 加えて、人的被害が多い新雪雪崩に注意も必要です。

今週末からの非常に強い寒気

 西日本から東日本の太平洋側で寒さが一服するのは、短い期間だけです。

 今週末からは、1月8日からの寒気並の非常に強い寒気が南下してきます(図4)。

図4 上空約5500mの気温分布予報
図4 上空約5500mの気温分布予報

 日本に南下してくる寒気の目安として、上空約5500mの気温が使われます。

 上空約5500mの気温が氷点下30度なら強い寒気です。

 この強い寒気が関東北部まで南下してきます。

 また、氷点下36度なら、日本海側では大雪の可能性がある非常に強い寒気で、これが北陸地方まで南下してきます。

 そして、北海道では氷点下42度以下の猛烈な寒気に覆われます。

最新の気象情報の入手につとめ、警戒してください

タイトル画像の出典:気象庁ホームページ。

図1の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図2の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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