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今年の春は特に夏日でも熱中症に警戒

饒村曜気象予報士
オフィスで額を冷やす男性(写真:アフロ)

夏日の累計地点数

 最高気温が25度以上の日を夏日といいます。

 令和2年(2020年)の4月は、寒気が南下することが多く、全国的に気温が低めに経過しましたので、夏日がほとんどありませんでした。

 しかし、5月になったとたんに情況が変わります。

 寒気が南下することが少なくなり、晴れたことによる強い日差しで気温が上昇し、各地で夏日を観測しています。

 記録的な5月の暑さといわれた、昨年、令和元年(2019年)と似てきました。

 図1は、アメダス観測所921地点を用いた夏日の累計地点数です(図1)。

図1 令和元年(2019年)と令和2年の夏日の累計地点数(4月1日から5月16日)
図1 令和元年(2019年)と令和2年の夏日の累計地点数(4月1日から5月16日)

 4月は夏日を観測する地点数が前年より少なかったのですが、5月に入ってから夏日を観測する地点数が急増し、4月の少なさを補っています。

5月17日の夏日

 5月17日(日)も、日本の南岸を低気圧が通過し、沖縄や九州南部で強い雨が降り、雲が多い状態となっていますが、南から暖気が入って気温が上昇する見込みです(図2)。

図2 地上天気図(5月17日3時)
図2 地上天気図(5月17日3時)

 気象庁が気温の予報を行っている171地点のうち90地点(53パーセント)で夏日を予想し、群馬県・前橋、長野県・飯田、山梨県・甲府、大分県・日田では、夏日を通り越して、最高気温が30度という真夏日の予報です(図3)。

図3 最高気温の分布予報(5月17日)
図3 最高気温の分布予報(5月17日)

春は夏日でも熱中症に注意

 暑さに慣れていない時期の暑さは、真夏で同じ気温を観測した時より熱中症が発症しやすいといわれています。

 また、気象庁の観測や予報で用いる気温は、風通しがよく、地面からの照り返しのない状態での気温です。

 場所によっては、これより高い気温となります。

 春の天気予報で、真夏日までゆかなくても、夏日の予報が発表されたときは、熱中症に注意が必要です。

 5月14日に新型コロナウィルスに対する緊急事態宣言が東京・大阪などを除く39県で解除されましたが、新型コロナウィルスの流行が終息したわけではありません。

 熱中症は、新型コロナウィルスの初期症状に似ているといわれていますので、熱中症対策は、例年以上に重要になっています。

 新型コロナウィルス対策をして仕事を再開するにしても、熱中症対策なども含め、常に油断大敵です。

図1の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図2の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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