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南岸低気圧の次の日本海低気圧で週中頃は全国的に大荒れ

饒村曜気象予報士
日本付近の南岸低気圧による雲(3月8日7時)

南岸低気圧で雨の日曜日

 日本付近は、短い周期で低気圧と高気圧が通過し、通過する低気圧のコースが本州の南海上を通過する「南岸低気圧」と、日本海を通過する「日本海低気圧」が交互です。

 このため、日替わりで天気が変わっています。

 また、気温の変動も大きく、体調を崩しがちな晩冬から早春です。

 3月8日の日曜日は、南岸低気圧の通過によって全国的に雲が多く、東~西日本では雨の所が多くなっています(図1)。

図1 地上天気図(3月8日3時)
図1 地上天気図(3月8日3時)

 全国的には、最高気温が平年より高いのですが、関東地方を中心に平年より低く、東京では最高気温の予想が10度と真冬並みです。

 一般的に、南岸低気圧は、北から寒気を南下させるため、気温はあまり上がりません。

 これに対し、日本海低気圧は、南から暖気を北上させるため、気温が上昇します。

週中頃の日本海低気圧

 週明けには、東シナ海で発生した低気圧が日本海に入って発達する見込みです(図2)。

図2 予想天気図(3月9日21時の予報)
図2 予想天気図(3月9日21時の予報)

 このため、3月10日の火曜日は、低気圧に向かって強い南風が吹き、雨が強くなるところもある見込みです(図3)。

図3 雨と風の分布予報(3月10日21時の予報)
図3 雨と風の分布予報(3月10日21時の予報)

 立春後、その年に初めて吹く南寄り(東南東から西南西)の強い風が「春一番」で、日本海で低気圧が発達したときに吹きます。

 令和2年(2020年)は、四国地方で2月12日、北陸地方と東海地方で2月16日、九州北部地方2月21日、関東地方で2月22日に吹くというように、地方ごとに基準ギリギリの春一番が吹きました。

 このため、四国・北陸・東海・九州北部及び関東で、3月10日の火曜日に強い南寄りの強い風が吹いたとしても春一番ではありません。

 春一番ではありませんが、気温が急上昇します。

 東京では、南岸低気圧が通過する8日の日曜日は最高気温の予想は10度と、2月上旬の気温ですが、11日は日本海低気圧によって最高気温は20度と4月下旬の気温になります(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温の推移(3月8日最高気温から14日は気象庁、14~24日はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温の推移(3月8日最高気温から14日は気象庁、14~24日はウェザーマップの予報)

 そして、今週末の14~15日は、再び南岸低気圧の通過で気温が低めに経過します。

 来週からは、天気の場が変わり、東京では晴れの日が続くようになります(図5)。

図5 東京の16日先までの天気予報
図5 東京の16日先までの天気予報

 それまでは、南岸低気圧と日本海低気圧が交互に通過しますので、天気も、気温も日替わりです。

 体調を崩しがちな天気が続きますが、気象情報に注意し、多忙の医療機関の負担にならないようにするのも、新型コロナウイルス対策ではないかと思います。

タイトル画像、図3、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図2の出典:気象庁ホームページの図に加筆。

図4の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料を元に著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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