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北海道大荒れ 寒気南下とPM2.5東進

饒村曜気象予報士
地上天気図を気象衛星画像(2月23日3時)

北日本の大荒れに加えてPM2.5

 2月23日(日)の天皇誕生日は、北海道付近で低気圧が発達し、西高東低の気圧配置となって強い寒気が南下しています。

 このため、北陸や北日本では雪や雨が降り、北日本では強い風吹いていますので、しばらくは暴風や暴風雪、高波に警戒が必要です(図1)。

図1 雨と風の分布予報(2月23日9時)
図1 雨と風の分布予報(2月23日9時)

 加えて、やや濃度が高いPM2.5が北海道を通過する予想です(図2)。

図2 PM2.5の分布予想(2月23日6時)
図2 PM2.5の分布予想(2月23日6時)

 PM2.5は、目に見えない2.5マイクロ以下の非常に小さい粒子のことです。自然起源で目で見える黄砂より粒径が小さく、自然起源だけでなく人工起源のものも多く存在します。

 非常に粒径が小さいPM2.5は、その小ささのために肺の奥深くまで入り込み、なかなか体外に排出されませんので、ぜんそくや気管支などの呼吸器系の疾患を引き起こすとされています。

 中国の経済発展に伴う大気汚染によるPM2.5の増加に加え、冬季は北京などの大都市では石炭を使った暖房が使われますので、街中にPM2.5が充満します。

 このようにして発生したPM2.5は、その一部が上空に巻き上げられることから、日本にくるPM2.5は、冬から春が多くなっています。

 上空を流れている偏西風によって日本上空に運ばれた後、下降流があれば、より多く降下し、地表付近のPM2.5が増加します。

天気の周期変化

 天皇誕生日の西高東低の冬型の気圧配置による寒気の南下は一時的です。

 大きな移動性高気圧が移動してきますので、天皇誕生日の午後から振替休日の24日(月)は、ほぼ全国的に晴れる見込みです(図3)。

図3 予想天気図(2月23日21時の予想)
図3 予想天気図(2月23日21時の予想)

 そして、この高気圧の後を追うように、25日(火)午後から26日(水)にかけて低気圧が日本海から日本の東海上に進む予報となっています。

 低気圧や高気圧が次々に通過するという、天気図から見ると、春の周期変化の天気図になっています。

次の寒気とPM2.5

 低気圧が通過した27日(木)には、大陸から高気圧が張り出してくるため、北日本を中心とした西高東低の冬型の気圧配置となり、北日本には23日に南下してきた寒気より強い寒気が南下してきます(図4)。

図4 上空約1500メートルの気温分布(上:2月23日朝、下:2月27日朝)
図4 上空約1500メートルの気温分布(上:2月23日朝、下:2月27日朝)

 ただ、東日本から西日本では、23日に南下してきた寒気と同程度の寒気です。

 西日本では弱い寒気で、その後高気圧が張り出して下降流の強くなりますので、地表付近のPM2.5は非常に多い状態になります(図5)。

図5 PM2.5の分布予想(2月26日3時)
図5 PM2.5の分布予想(2月26日3時)

 西日本では、春を迎えてPM2.5の飛来などに注意が必要です。

 一方、北国の春はもう少しあとになりますので、北日本では、しばらくは寒さに注意が必要です。

タイトル画像、図1、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図2、図5の出典:SPRINTARS開発チーム・ウェザーマップ提供。

図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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