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平成最後の大雨警報か令和最初の大雨警報か

饒村曜気象予報士
土砂崩れ(提供:アフロ)

警報の可能性

 気象庁では、市町村ごとに5日先までの警報級の可能性を発表しています。

 これは、大雨、大雪、暴風(暴風雪)、波浪の各警報が発表されるような状況の可能性を、「高」と「中」の2種類であらわすものです。

「高」:警報を発表中、又は、警報を発表するような現象発生の可能性が高い状況です。

「中」:「高」ほど可能性は高くはないが、命に危険を及ぼすような警報級の現象となりうる状況。

 この警報級の可能性が、平成最後の日である4月30日に九州で「中」となっています(図1)。

図1 平成最後の警報級の可能性
図1 平成最後の警報級の可能性

 また、令和最初の日である5月1日に東海と九州で「中」となっています(図2)。

図2 令和最初の警報級の可能性
図2 令和最初の警報級の可能性

 この大雨は、ともに、東シナ海で発達した低気圧の東進に伴うものです。

低気圧の東進

 平成最後の日は、東シナ海で発生した低気圧に伴う温暖前線に向かって南から暖かくて湿った空気が流入します(図3)。

図3 予想天気図(4月30日9時の予想図)
図3 予想天気図(4月30日9時の予想図)

 このため、平成最後の日は、九州で大雨が降り、各地で大雨警報が発表される可能性があります。

 現在、熊本県では、平成28年(2016年)4月16日と平成31年(2018年)1月3日の熊本地方の地震等に伴い、また、鹿児島県では、平成29年(2017年)7月11日の鹿児島湾の地震に伴って、通常基準より引き下げた暫定基準を設けて運用しています。

 熊本・鹿児島両県は、それだけ大雨による災害が起きやすい状態が今でも続いていますので、大雨警報が発表された場合は、厳重な警戒が必要です。

 平成最後の日(4月30日)に九州に大雨を降らせた低気圧は東進し、令和最初の日(5月1日)に東海地方に大雨を降らせます(図4)。

図4 雨量分布(5月1日9時の1時間雨量)
図4 雨量分布(5月1日9時の1時間雨量)

 低気圧が少し北を通ると広い範囲で大雨、少し南を通ると雨量が少なめとなりますので、令和最初の雨の量の見積もりは、難しい予報です。

 最新の気象情報でチェックしてください。

 平成最後の大雨警報か、令和最初の大雨警報になるかに関わらず、雨に警戒が必要な季節になったのです。

ゴールデンウィーク後半の天気

 ゴールデンウィークは、移動性高気圧に覆われ晴れて始まりましたが、この晴天は長続きしません。

 平成最初の日、平成元年(1989年)1月8日は、東シナ海で発生した低気圧によって全国的に雨となりましたが、平成最後の日、平成31年(2019年)4月30日も、同じように雨の日となりそうです。

 そして、令和最初の日、5月1日も雨になりそうです。

 ゴールデンウィーク後半は晴の日が多い予報ですが、上空に寒気が南下してきますので、局地的に大気が不安定となり、雷雨や突風になることがあります(図5)。

図5 各地の10日間予報
図5 各地の10日間予報

 ゴールデンウィーク後半は、最新の気象情報を入手し、晴れていても天気に注意し、黒い雲を発見するなどしたら、安全な場所への移動が必要です。

図1、図2、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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