Yahoo!ニュース

大気が非常に不安定 西日本上空に真冬並みの寒気

饒村曜気象予報士
地上天気図(3月31日3時)

大気不安定

 平成30年度最後の日は、日本列島は西高東低の冬型の気圧配置となっています。

 上空約5500メートルには氷点下36度という寒気が日本海西部に南下し、西日本から東日本へゆっくり移動中です(図1)。

図1 日本上空約5500メートルの気温(4月1日夜)
図1 日本上空約5500メートルの気温(4月1日夜)

 タイトル画像の天気図にあるように、日本の東海上にある前線を伴った低気圧の西側、日本海にある前線を伴っていない小さな低気圧は、上空に非常に冷たい空気が流入しているサインです。

 日本海にある小さな低気圧は、気象衛星から見ると、はっきりした渦を巻いています。まるで、ミニ台風です(図2)。

図2 気象衛星から見た日本海西部の渦(3月31日6時50分)
図2 気象衛星から見た日本海西部の渦(3月31日6時50分)

 日本上空に流入している寒気、上空約5500メートルで氷点下36度という寒気の温度は、真冬であれば大雪の目安の気温です。

 3月は暖かい日が続き、長崎で3月20日、東京・横浜・福岡で3月21日にさくらが開花し、東京では3月27日に満開となるなど、地表付近が暖まっていたところでの上空寒気です。

 北海道を除き、平野部では雪ではなく雨が降りますが、大気は非常に不安定となり、広い範囲で雷雨となる恐れがあります(図3)。

図3 発雷確率(3月31日9時~12時)
図3 発雷確率(3月31日9時~12時)

 落雷や突風など、局地的ですが、激しい現象に注意が必要です。

 関東南部の花見は、「雨の可能性のある土曜日か寒い日曜日」という難しい選択でしたが、「寒いか雷雨の可能性がある日曜日」になりそうです。

 花見など、行楽に出かける方は、気象情報に注意し、暖かくしてお出かけください。

 「雷三日」ということわざがあります。

 日本上空に寒気が入っているときは、その寒気の動きが遅いことが多く、雷雨が3日間位続くという意味です。

 今回の上空寒気も、動きはゆっくりですので、週明けも広い範囲で大気が不安定ですので、落雷や突風などに注意が必要です(図4)。

図4 発雷確率(4月1日15時~18時)
図4 発雷確率(4月1日15時~18時)

寒い新年度

 気象庁が発表した1か月予報では、4月の第1週は全国的に気温が低くなります(図5)。

 そして、第2週になると、北日本は低い気温が続きますが、西日本は並みかやや高い気温という予報です(図5)。

図5 4月前半の平均気温の予想(1ヶ月予報による)
図5 4月前半の平均気温の予想(1ヶ月予報による)

 図6は、週間天気予報などを利用し、東京の3月1日以降の最高気温と最低気温の推移をみたものです。

図6 東京の最高気温と最低気温(3月31日~4月6日は気象庁、7~9日はウェザーマップの予報)
図6 東京の最高気温と最低気温(3月31日~4月6日は気象庁、7~9日はウェザーマップの予報)

 最高気温、最低気温とも、平年値より高い日が続いていた3月ですが、3月末以降は予報も含めて、平年値より低い日が多くなっています。

 気温が低い状態は、満開となったさくらが散るのを遅らせます。

 すでに桜が満開となった東京ですが、なんとか、4月最初の週末まで、さくらの見ごろが続くのではないかと期待しています。

タイトル画像の出典:気象庁ホームページ。

図1、図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図5の出典:気象庁ホームページ。

図6の出典:気象庁資料、ウェザーマップ資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

饒村曜の最近の記事