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今年は長め さくら開花から満開までの期間

饒村曜気象予報士
日傘を差すシニア女性(ペイレスイメージズ/アフロ)

さくらの開花と寒気南下

 全国的に暖かい日が続いたことから、3月20日(水)には、長崎でさくらが開花しました。

 沖縄・奄美以外では今季初めてで、極端に早かった、昨年、平成30年(2018年)よりは3日遅くなりました。

 そして、21日(木)には東京、横浜、福岡が、22日(金)には高知・松山・宮崎・広島・名古屋・岐阜、23日(土)には佐賀でさくらが開花しました。

 花見シーズンが開幕しました。

 しかし、23日(土)から強い寒気が日本付近を通過しています(図1)。

図1 日本上空約5500メートルの気温(3月24日朝)
図1 日本上空約5500メートルの気温(3月24日朝)

 このため、関東から西の各地での次なる開花は、少し足踏みです。

 そして、3月最終週は、3月26日(火)から27日(水)、および、29日(金)から30日(土)にやや強い寒気が南下してきます(図2)。

図2 日本上空約5500メートルの気温(3月29日夜)
図2 日本上空約5500メートルの気温(3月29日夜)

 このため、さくら開花前線の南の地方から北の地方へ、あるいは、平地から山麓への移動スピードは遅くなります。

桜の開花予想と満開予想

 気象予報会社等では、日々の気温の高低も加味して「さくらの開花予想」や「さくらの満開予想」を行っています。

 気象予報会社によって、対象とするさくらの木が違ったり、予報を発表する時期が違ったりするので、簡単には比較できないのですが、ウェザーマップのさくら開花前線の予報では3月中に東日本の太平洋側から西日本でさくらが開花します(図3)。

図3 さくら開花前線(ウェザーマップ3月21日発表、地名の下のさくらマークは開花を示す)
図3 さくら開花前線(ウェザーマップ3月21日発表、地名の下のさくらマークは開花を示す)

 さくらの開花は、観測対象の木(標本木)で、5~6輪以上の花が開いた状態を「開花」といい、さくらの開花から4~5日位で「五分咲き」、つまり、花芽の5割が花開いた状態になります。

 気温や雨、風によって異なりますが、一般的には、さくらの開花から1週間から10日くらいで「八分咲き」、つまり満開となります。

 「八分咲き」を満開としているのは、最初に開花した花びらが散り始めることや、さくらが一番きれいに見える状態が「八分咲き」であることによるとされています。

 そして、ウェザーマップのさくら満開予想日は、表のようになっています。

表 各地のさくらの開花・満開予想日(ウェザーマップによる)
表 各地のさくらの開花・満開予想日(ウェザーマップによる)

 平成最後のさくらは、開花から満開までの期間がほとんどの所で10日以上となっているのは、開花後の気温が高くないことを反映しています。

 東京の9日も、平成の30年間の平均である8日よりは長めです。

 つまり、平成最後の花見期間は、今のところ、長めが予想されています。

 すでに開花している地点でも、3月最後の週末だけでなく、4月最初の週末も花見が楽しめる可能性があります。

図4 東京の満開予想と10日予報
図4 東京の満開予想と10日予報

図1、図2、図3、図4、表の出典:ウェザーマップ提供

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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