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暖かい師走入り 紅葉狩りや大掃除は寒波が来る前に

饒村曜気象予報士
師走の道玄坂(ペイレスイメージズ/アフロ)

寒気南下

 北日本を中心に冬型の気圧配置となり、寒気が南下しています。

 今年、平成30年(2018年)は、記録的な猛暑から暖かい秋に続いていましたので、寒く感じ、冬が来た感を強くします。

 しかし、これで平年並みの寒さです。

 現在、南下中の寒気は一時的で、週末からは南からの暖気の流入で気温が高くなる日が出てきます。

 そして、本格的な寒気の南下は、北海道では5日(水)以降、そのほかの地方では7日(金)以降ということになります(図1)。

図1 ウェザーマップの10日予報(上段数字は最高気温、下段数字は最低気温)
図1 ウェザーマップの10日予報(上段数字は最高気温、下段数字は最低気温)

 例えば、札幌の平年の最高気温は4.2度位、最低気温は-2.0度位ですので、12月4日の最高気温が13度という予想は、平年より9度も高いということになりますが、翌5日の最高気温は2度と、一日で11度も下がります。

 北海道の気温の予想は、低気圧がサハリンで発達するのか、カムチャッカ半島で発達するのかなど、低気圧の発達する位置によって大きく変わる難しい予報です。

 また、東京の平年の最高気温は13.6度位、最低気温は5.3度位ですので、12月4日の最高気温が20度という予想は、平年より9度も高いということになります。

 気象庁の週間天気予報によれば、東京の12月5日の最高気温は21度、誤差幅を考えると、18度から23度という予報です。

 12月の東京なのに、最高気温が25度以上の夏日に近い気温が予想されています。

 つまり、平成最後の師走は、暖かい師走の入りになりそうです。

 そして、一週間とたたないうちに、本格的な寒気が南下してきます。

紅葉狩りとクリスマスイルミネーションと大掃除

 今年は、記録的な猛暑から暖かい秋へと続き、全国的に紅葉の見ごろが遅れがちになっています。クリスマスイルミネーションは、11月末から飾り付が始まるところが多いので、クリスマスイルミネーションと一緒に紅葉狩りが楽しめる地方もあります。

 本格的な寒気の南下は師走に入って約一週間後ですので、暖かくて晴れている今週末は、行楽に適した天気といえるでしょう。

 暖かい師走の入りから一週間ほどたって南下する寒気は、今冬一番のものです。

 日本海側の大雪の目安となる上空約5500メートルで-36度の寒気は、東北地方北部まで南下する予想です(図2)。

 また、平地で雪が降る目安の上空約5500メートルで-30度の寒気も東北地方南部から北陸地方まで南下してぃます。

図2 南下してくる本格的な寒気(12月7日夜)
図2 南下してくる本格的な寒気(12月7日夜)

 なお、図3は、12月3日夜のものですが、寒気が全く南下しないどころか、逆に暖気が入っていることを示す図です。

図3 南下してくる本格的な寒気(12月3日夜)
図3 南下してくる本格的な寒気(12月3日夜)

 また、暖かい師走の入りは、年末の大掃除をするのに適しています。

 先生も走るというほど慌ただしい12月です。しかも、年末が近づくにつれ、忙しさが増してきます。加えて、本格的な寒気の南下で、外での水仕事がつらくなります。

 暖かい師走の入りは、ちょっとした天の恵みです。

 行楽も大掃除も、週間天気予報等を利用した早め早めの計画的な行動をして欲しいと思います。

図1、図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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