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来週は寒い 続いた西谷から東谷で寒気南下

饒村曜気象予報士
山梨県 山中湖と富士山(写真:アフロ)

西谷と東谷

 上空約5000メートルで、日本の西側の気圧が低い時を西谷といい、南から暖かくて湿った空気が流入しやすくなります(図1)。

図1 西谷と東谷
図1 西谷と東谷

 このため、西谷が続くときは、日本付近では低気圧や高気圧が通過して天気が変化しても、基本的には曇りや雨の日が多い天気となります。

 また、中国東北部から朝鮮半島に寒気が南下したときは、そのまま日本付近に南下ではなく、上空の流れにそって、寒気は沿海州から北海道の北へ進みます(図2)。

図2 西谷の時の寒気南下(10月18日朝)
図2 西谷の時の寒気南下(10月18日朝)

 

 逆に、日本の東側の気圧が低い時を東谷といい、日本付近には北から冷たくて乾いた空気が流入しやすくなりますので、基本的には晴れた日が多くなります。

 東谷と西谷の中間、日本付近の気圧が低い時を本邦谷といいます。

日本付近への寒気南下

 秋は、西谷と東谷が本邦谷をへて交互に現れ、天気が周期変化します。

 今年の秋は、西谷が続くことが多く、例年のように秋らしい爽やかな晴天の日が少なかったのですが、来週は北日本を中心に東谷にかわりそうです(図3)。

図3 専門家向けの上空約5000メートルの予想天気図(北日本を中心に谷が変化)
図3 専門家向けの上空約5000メートルの予想天気図(北日本を中心に谷が変化)

 このため、強い寒気が日本付近に南下し、寒くなる見込みです(図4)。

図4 本邦谷から東谷の時の寒気南下(10月30日夜)
図4 本邦谷から東谷の時の寒気南下(10月30日夜)

 週明けからの10日間は、北日本を中心に西高東低の気圧配置が強まりますので、日本海側の地方は雨の日が多くなり、太平洋側の地方は晴れの日が多くなります(図5)。

図5 専門家向け地上天気図(10月30日21時)
図5 専門家向け地上天気図(10月30日21時)

 気温は、沖縄地方を除いて、最高気温でも20度前後、最低気温は10度を下回ることが多くなります(図6)。

図6 週間天気予報(数字の上段は最高気温、下段は最低気温)
図6 週間天気予報(数字の上段は最高気温、下段は最低気温)

 東京では10月7日に最高気温が32.3度と30度を超えて真夏日となるなど、各地で暑い秋となっていましたので、ここへきての寒さは、体感的にきついものがあります。

 体調維持に注意が必要な一週間が始まります。

図1の出典:筆者作成。

図2、図4、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図3、図5の出典:気象庁資料。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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