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台風24号が沖縄・西日本に接近のおそれ 地球の自転の影響で風が強いほど北に進む台風

饒村曜気象予報士
気象衛星ひまわりから見た台風24号(9月25日9時)

大型で非常に強い台風24号

 大型で非常に強い台風24号が沖縄の南海上にあって、ゆっくり北上中です。

 今後、速度をやや早めながら沖縄県先島諸島へ接近し、来週は西日本に接近の可能性もあります(図1、図2)。

図1 台風の強度予報(3日先までの予報)
図1 台風の強度予報(3日先までの予報)
図2 台風の進路予報(5日先までの予報)
図2 台風の進路予報(5日先までの予報)

 台風の進路予報は、常に最新のものをお使いください

 台風の移動は、主として、上空の風に流されて移動します。

 現在、台風24号の上空では風が弱いため、台風の動きが遅くなっていますが、それでも、ゆっくり北上しています。これは、台風には、上空の風がなくても、地球の自転の影響でゆっくり北上する性質があるからです。

ゆっくり北上

 地球上で動いている物体は、すべて地球の自転の影響を受けます。空気の動き、つまり風も同じです。

 地球の自転の影響は、空気の動く速さ(風の強さ)に比例し、高緯度になるほど強くなります。そして、その影響は、北半球では空気の動く向き(風向)の右側、南半球では空気の動く向き(風向)の左側です。

 北半球の台風のように風が渦を巻いているとき、図3のように力が働きます。

図3 台風に対する地球の自転の影響の説明図
図3 台風に対する地球の自転の影響の説明図

 台風の東側で働く力は東向き、台風の西側で働く力は西向きですが、これは同じ大きさの力で向きが逆ですので打ち消されます。

 しかし、台風の北側で働く北向きの力は、台風の南側で働く南向きの力より強くなっています。この南北の差は、風が強いほど大きくなります。

 このため、わずかですが、風の強い発達している台風は、地球の自転によってゆっくり北に向かいます。

 台風の放物線を描くように日本に接近するのは、まず、低緯度では上空で吹いている偏東風に流されながら地球の自転の影響でゆっくり北上するので、西北西進するからです。

 そして、上空の風が弱い海域に達すると、地球の自転の影響でゆっくり北上し、上空で偏西風が吹いている緯度まで北上すると、偏西風に流されながら地球の自転の影響でゆっくり北上するため、東北東進するからです(図4、図5)。

図4 台風の進路の説明図
図4 台風の進路の説明図
図5 台風の平均的な経路
図5 台風の平均的な経路

 偏西風は偏東風より強い風ですので、緯度が高くなって偏西風で流されるときは、速度が速くなります。

 台風24号は、現在はゆっくり北上中ですが、日本を覆って猛烈な暑さをもたらし、台風の接近を妨げていた太平洋高気圧が日本の東海上に後退し、上空の偏西風が南に下がっています(図6)。

図6 太平洋高気圧の東海上への後退
図6 太平洋高気圧の東海上への後退

 台風24号は、今後、向きを東よりに変えて西日本に接近する見込みです。

 この場合は、加速して接近しますので、早めの対策が必要です。

タイトル画像、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図2、図5の出典:気象庁ホームページ。

図3、図4の出典:著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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