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台風20号接近 小さくてつぶらな危険な眼

饒村曜気象予報士
東シナ海の台風19号と日本の南海上の台風20号

台風の眼

 東シナ海に台風19号が、日本の南の海上に台風20号があって、ともにはっきりした眼を持っています。

 台風の眼の形は様々ですが、眼の形によって中心付近の最大風速がある程度推定できます。

 台風がはっきりした眼を持っていれば、それだけで強い風が吹いている台風ということができますが、同じはっきりした眼を持っていても、眼の大きさが小さければ小さいほど、つぶらであればあるほど台風の中心付近で強い風が吹いています。

 台風の眼の形だけから言えば、台風19号より台風20号のほうが、小さくてつぶらな眼ですので、より風が強く危険です(タイトル画像、図2参照)。

台風20号の進路予報

 非常に強い台風20号が時速30キロくらいの速度で北上しており、8月23日午後から24日にかけて、少なくとも強い勢力を保ったまま西日本にかなり接近し、上陸する見込みです。東日本から西日本では暴風や高波、大雨、高潮に厳重に警戒が必要です。

 台風の北上速度が遅いと、台風による雨が長続きし、大雨になりますので、台風の強さだけでなく、台風の速度にも注意して警戒してください。

図1 台風20号の進路予報(8月22日21時)
図1 台風20号の進路予報(8月22日21時)

 台風の進路予報については、最近のものをお使いください

眼を閉じてもしばらくは危険

 台風の眼が小さくてつぶらになるなど、気象衛星からみて発達の兆候がでてくると、すぐに地上付近の風が強まります。

 しかし、台風の眼がはっきりしなくなる(眼を閉じる)など、気象衛星からみて衰弱の兆候がでてきても、すぐには地上付近の風が弱まりません。地上付近の変化に先立って雲に変化が現れてくるからです。衰弱には時間差があります。

 台風19号と台風20号の眼は、ともに8月22日の夜から、少しはっきりしなくなっています(図2、図3)。

図2 台風19号と台風20号の眼(8月22日18時)
図2 台風19号と台風20号の眼(8月22日18時)
図3 台風19号と台風20号の眼(8月22日23時)
図3 台風19号と台風20号の眼(8月22日23時)

 しかし、これをもって台風が衰弱したと考えるわけにはゆきません。

 台風20号は、非常に強い勢力から強い勢力に勢力を少し弱めるかもしれませんが、少なくとも強い勢力で西日本に接近する見込みですので、厳重な警戒が必要です。

 台風20号の速度が遅いと、台風による降雨時間が長くなって記録的な大雨となる可能性もありますので、厳重な警戒が必要です。

 気象衛星からみて台風が弱まっているなどと即断するのではなく、台風情報の入手に努め、警戒してください。

図1の出典:気象庁ホームページ。

タイトル画像、図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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