台風5号と梅雨前線で大雨の「入梅」
暦の上での梅雨入り
太陽の黄経80度の日を雑節の「入梅」といい、太陽が一番真上に来る夏至(黄経が90度)の少し前の時期で、6月11日頃にあたります(図1)。
中国でできた「二十四節気」が日本に伝えられたとき、さらに季節の変化をつかむために補助的につくられた日本独自の暦が雑節です。
雑節の代表が「入梅」、「八十八夜」そして「二百十日」です。
暦の上では、梅雨が始まるのは全国一律で同じ6月11日頃ですが、南北に長い日本では、実際の「梅雨入り」は、沖縄から東北地方まで1か月程度の幅があります。
一般的には「入梅」と「梅雨入り」は同じ意味で使われますが、気象庁や放送局では「梅雨入り」を使い、「入梅」は暦の場合のみの使用です。
台風5号が本州南岸を北東進
暦の上でも梅雨入りとなった、週明けの6月11日(月)、大型の台風5号が本州の南岸を北東進しています(図2)。
風速が毎秒25メートル以上の暴風域は伴っていませんが、風速15メートル以上の強風域が広く、台風の東から北側に雨雲が大きな雨雲を伴っています。
本州南岸の梅雨前線は、台風5号に伴って南から暖湿気流が入って活発化しています。
このため、神奈川県横須賀市などでは大雨警報(土砂災害)が発表となっています(図3、図4)。
台風5号から離れたところでも大雨の可能性がありますので、明日までは大雨に関する気象情報に十分な警戒が必要です。
そして、台風5号の通過後は、北から寒気で前線が南下し大気が不安定になり局地的な雷雨となりますが、梅雨前線はなくなり、梅雨らしくない天気となります(図5)。
図1の出典:「饒村曜(2014)、天気と気象100、オーム社」の図に加筆。
図2、図3、図4、図5の出典:気象庁ホームページ。