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事実上消えた梅雨前線で北海道は34度、再び勢力が強まる梅雨前線で大雨に警戒

饒村曜気象予報士
気象衛星「ひまわり8号」の赤外画像(6月5日2時30分)

沖縄より暑い北海道

 週明け月曜日(6月4日)の日本列島は、太平洋高気圧の縁辺をまわるように暖気が北海道まで流入しました。このため、北海道東部ではフェーン現象も加わり、帯広の最高気温が34.0度(15時19分)となるなど、6月4日の全国最高気温ランキングでは上位10地点、タイ記録を含むと11地点のうち、10地点が北海道東部です(表)。

 北海道は沖縄より暑い一日でした。

表 全国の最高気温ランキング(6月4日)
表 全国の最高気温ランキング(6月4日)

沖縄地方の少雨

 沖縄地方では、今年(平成30年(2018年))2月以降、少雨傾向が続いています。2月の降水量は平年比の51%です。3月は降水量の平年比が84%と一時回復しましたが、4月に77%、5月は降水量の平年比が27%と記録的な少雨を観測しています。

 梅雨入りが発表されたのが5月8日ですので、梅雨入り後も少雨が続いてました。

 6月1日以降、梅雨前線に伴う雲がかかってときどき雨が降るようになってきましたが、6月4日に梅雨前線が消えかかっています。

 6月4日の地方天気図では、沖縄付近を東西に伸びる梅雨前線(停滞前線)が書いてありますが、消滅しつつある梅雨前線です(図1)。

図1 地上天気図(平成30年(2018年)6月4日15時)
図1 地上天気図(平成30年(2018年)6月4日15時)

 北からの寒気と南からの暖気が押し合い、寒気と暖気の力がほぼ同じで動かないというのが停滞前線です。この停滞前線が消滅しつつあることから、南からの暖気が一気に北上したのが週明け月曜日でした。沖縄地方にとっては、梅雨明けを思わせる天気となりました。

再び梅雨前線が活発化

 梅雨前線が本州上で次第に活発になって、今週は関東から東海、近畿、中国地方で梅雨入りになるかもしれません(図2)。

図2 予想天気図(6月6日9時の予想)
図2 予想天気図(6月6日9時の予想)

 

 しかし、この前線が南に下がってこない場合は、沖縄地方はそのまま梅雨明けとなり、深刻な水不足の夏になる恐れがあります。

前線に台風は危険な組み合わせ

 南シナ海とフィリピンの東海上には活発な積乱雲の塊があり、ともに熱帯低気圧を経て台風にまで発達する可能性があります。

 南シナ海の熱帯低気圧は、3日ほど前から「24時間以内に台風になる見込み」という海上警報が発表されていますが、なかなか発達せずに北上し、中国の海南島に近づいています。将来、温帯低気圧に変わってから日本に接近するかもしれません。

 フィリピンの東海上には活発な積乱雲の塊があり、いくつかの熱帯低気圧が発生し始めました。

 このうち、どれが中心となって台風にまで発達するのか不明ですが、熱帯低気圧であっても、活発になってきた梅雨前線に向かって暖湿気流を送り込む可能性があります。

 図2で日本の南海上にある熱帯低気圧が気になります。熱帯低気圧が発達して台風となり、その台風が北上・接近してきたら、雨量はさらに多くなり危険になります。

 前線と台風は危険な組み合せで、大雨に警戒が必要です。暦の上では梅雨に入ったばかりかもしれませんが、事実上は梅雨末期のような大雨の可能性がありますので、気象情報に注意し、警戒してください。

タイトル画像、図1、図2、表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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