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北陸で大雪 同じ北陸でも新潟と福井は雪の降りかたが違うことがある

饒村曜気象予報士
冬の新潟市・萬代橋(著者撮影)

 西高東低の冬型の気圧配置が強まり、日本海側の地方では山間部を中心に大雪となっています。北陸地方も大雪となっていますが、同じ北陸地方でも、東部の新潟県と西部の富山・石川・福井の各県では雪の降りかたが違う場合が少なくありません。

新潟市と福井市の積雪

 新潟市は、日本海側の地方といっても、積雪がそれほど多くはありません。新潟市は佐渡島の風下側に位置するために入ってくる雪雲が少ないことが原因です。

 新潟市と福井市の月最深積雪の記録を見ると、福井市のほうが新潟市より7割多く積もりますが、いつも福井市が多いというわけではありません。

月最深積雪の記録

新潟市 120センチ

昭和36年(1961年)1月18日

福井市 209センチ

昭和2年(1927年)2月12日

 平成30年(2018年)1月中旬の大雪のときは、新潟市の最深積雪は80センチ(1月12日)、福井市の最深積雪は77センチ(1月13日)と、新潟市のほうが多く積もっています。

 しかし、2月上旬の大雪のときは、新潟市の最深積雪は36センチ(2月9日)なのに対し、福井市の最深積雪は147センチ(2月7日)と、約4倍も積もっています。福井市の147センチは、歴代6位の記録です。

 今回、2月中旬の大雪のときは、2月上旬の大雪と違って、北陸地方は東部も西部も同程度の降りかたです。

関東圏の新潟と大阪圏の福井

 個人的ですが、新潟市で新潟大学卒業まで育ち、福井市で福井地方気象台長として勤務した経験から、福井市と新潟市では、同じ北陸でも気象が違う場合が少なくないと感じました。

 新潟地方気象台では、北陸4県に対して北陸地方情報を発表していますが、平成16年(2004年)から、可能な場合は、北陸地方を東部と西部に分けて情報を発表することにしています。

 しかし、新潟地方気象台が北陸地方情報を発表しても、福井県では放送されにくいという問題があります。テレビ局の系列などが違うからです。

 東京キー局での放送内容の多くは関東甲信越です。関東地方に山梨・長野・新潟の各県の情報がテレビから流されます。それだけ、この範囲の結び付きが強いのです。

 これに対し、大阪キー局での放送内容の多くは、近畿と三重・福井県嶺南(福井県南部)の情報がテレビから流されます。つまり、同じ北陸でも、新潟県は東京圏、福井県は大阪圏といえると思います。

 気象情報で「北陸地方大雪」といっても、北陸西部なのか、北陸東部なのか、あるいは両方なのか、情報の中身に注意する必要があります。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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