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天下分け目の総選挙 関ヶ原の戦いは秋雨期

饒村曜気象予報士
気象衛星「ひまわり」の赤外画像(2017年10月20日13時50分)

関ヶ原の戦い

 慶長5年9月15日(1600年10月21日)、徳川家康(58)率いる東軍7万5千と、石田三成引いる西軍8万2千が、美濃国の関ケ原で天下分け目の戦いを行っています。

 石田三成は、家康の先手をとり夜中に兵力を関ケ原に移動させ、有利な布陣をしいて家康を待ちかまえていました。しかし、家康の巧みな根回しで西軍は裏切りや傍観者が相次ぎ、実際に戦闘に参加したのは3万5千でした。それでも午前中は勝敗が分からないなど、かなり東軍に対して善戦しています。しかし、午後になって小早川秀秋が寝返ったのを契機に東軍が圧勝しています。

 石田三成が西軍主力の兵力を移動させた頃から秋雨が降り始め、夜間雨に濡れながらの長距離移動でした。雨に濡れ、短い休憩で戦わざるをえなかった西軍ですが、戦いの序盤は東軍を押しています。もし、休養十分でもっと東軍を挿しまくっていたなら、裏切り等もなく、西軍が隣っていたかもしれません。

 関ヶ原の戦いに秋雨の影響があったのではないかと思います(図1)。

図1 関ヶ原の戦いの西軍
図1 関ヶ原の戦いの西軍

台風の接近により秋雨前線が活発

 関ヶ原の戦いのように、秋雨が総選挙に与えるかどうかわかりませんが、東日本から西日本は総選挙の期間中、秋雨前線で曇や雨の天気が続いています。

 加えて、台風21号は発達しながら北上を続けていますので、西日本では、前線を刺激して大雨が降ったあとに台風の暴風雨が襲う可能性があります。

投票日の暴風に入る確率

 沖縄県本島南部で暴風域に入る確率が一番高いのは、総選挙投票日である22日(日)の0時から3時で10パーセントくらいで、午前中の投票時間帯はまだ暴風域に入る可能性があります(図2)。

図2 暴風に入る確率(沖縄本島南部、10月20日9時の予報)
図2 暴風に入る確率(沖縄本島南部、10月20日9時の予報)

 奄美地方北部で暴風域に入る確率が一番高いのは、22日(日)の9時から12時で30パーセントを超え、投票時間帯は暴風域に入る可能性があります(図3)。

図3 暴風に入る確率(沖縄県奄美地方北部、10月20日9時の予報)
図3 暴風に入る確率(沖縄県奄美地方北部、10月20日9時の予報)

 和歌山県南部の新宮・東牟婁で暴風域に入る確率が一番高いのは、23日(月)の3時から6時で40パーセントを超えていますが、前日の午後の投票時間帯は暴風域に入る可能性があります(図4)。

図4 暴風に入る確率(和歌山県新宮・東牟婁、10月20日9時の予報)
図4 暴風に入る確率(和歌山県新宮・東牟婁、10月20日9時の予報)

 西日本では、総選挙投票日は台風21号に警戒しながら、国民の権利の行使が必要ですが、東日本・北日本でも、週明け早々に台風21号に警戒が必要です。

 10月の台風は雨に警戒が必要です。

 そして、10月の台風は、北緯25度を超えると加速して接近しますので、あっという間に近づきます。油断できません。

図1の出典:饒村曜(1999年)、イラストでわかる天気のしくみ、新星出版社。

図2、図3、図4の出典:気象庁ホームページ。 

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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