Yahoo!ニュース

台風21号が日本に向かって北上中 秋台風が速いのは北緯25度付近に達してから

饒村曜気象予報士
気象衛星「ひまわり」赤外画像(2017年10月17日21時0分)

台風21号の速度

 台風21号が発達しながら、自転車並みの速度で北上中です(図1)。

図1 台風21号の進路予報(平成29年10月17日21時の予報)
図1 台風21号の進路予報(平成29年10月17日21時の予報)

 台風21号の情報については、常に最新のものを入手して下さい。

 秋台風は、進行速度が速いイメージがありますが、これは北緯25度位に達してからの話です。10月に北北西、北、北北東に進んでいる(北に向かっている)台風の平均速度ですが、北緯30度より南の海域では平均速度が10ノット(時速では約20キロメートル)以下です(図2)。

図2 北へ向かっている台風の進行速度(単位はノット)
図2 北へ向かっている台風の進行速度(単位はノット)

 台風21号が北緯25度位に達するまでに数日かかりますので、しばらくは、時速15から20キロメートルと、自転車並みの速度で北上を続けそうです。

 なお、10月に北緯30度より高緯度では、北東、東北東、東に進んでいる(東に向かっている)台風の平均速度は20ノット(時速では約40キロメートル)以上に早まります。このため、台風21号が向きを東に変えたときは、加速し、あっという間に接近しますので、防災対応が遅れがちになります(図3)。

図3 東へ向かっている台風の進行速度(単位はノット)
図3 東へ向かっている台風の進行速度(単位はノット)

 

選挙運動と台風21号

 10月22日の総選挙投票日に向けて、選挙運動が佳境に入っていますが、東日本から西日本は、前線が停滞し雨や曇りの天気が続いています。

 台風21号の北上に伴って前線活動が活発となり、大雨の可能性あります。また、台風21号の総選挙投票日の予報円には、沖縄本島から九州南部が入っています。

 総選挙投票日の天気が曇りのときが投票率が一番高いということが良く言われます。雨や風が強いと投票率が低くなりますが、晴れる場合も行楽等にでかけることで高い投票率にはならないからです。

 総選挙に影響を与えそうな台風21号です。

 台風情報に注意し、期日前投票などを活用し、棄権せずに、日本の未来を決める投票をして欲しいと思います。 

タイトル画像と図1の出典:気象庁ホームページより

図2、図3の出典:饒村曜(1980)、台風に関する諸統計(第2報)ー進行速度ー、研究時報、気象庁。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

饒村曜の最近の記事