台風5号の進路は東シナ海から対馬海峡と定まったわけではない
台風5号の進路予報
台風5号は、7月21日9時の発生から13日を過ぎようとしており、昭和61年の台風14号の記録(19日6時間)に迫る長寿の台風になりそうです。
現在、台風5号は大きな眼が崩れかけていますが、非常に強い勢力を保ったまま、自転車並みの速度で北西進んでおり、予報円の大きさは、数日前よりは小さくなったとはいえ、まだまだ大きく、台風進路予報が難しいことを示しています(図1)。
過去の類似台風
過去の台風から、今回の台風5号のように、日本の南海上をゆっくり北西進した台風を捜すと、いろいろなケースがありますが、いずれも8月の台風です(図2)。
予報円の中心を結ぶと、鹿児島県・奄美大島近海からシナ海に入り、その後、対馬海峡に向かっていますが、予報円が大きく、台風の中心を結んだ線だけで考えるわけにはゆきません。
台風5号が、予報円の北東側を進んだ場合、昭和46年(1971年)の台風23号のように、本州の南岸を東進する可能性があります。
一方、予報円の南西側を進んだ場合、平成3年(1991年)の台風10号のように、そのまま中国大陸に達する可能性がゼロではありません。
それだけでなく、昭和39年(1964年)の台風14号のように、一旦南に下がって一回転し、それから九州上陸という可能性まであります。
今日の台風予報あたりから、予報円が少し小さくなり、台風の進路が絞られてくると思いますが、いずれにしても、最新の台風情報の入手に努める必要があります。
気象庁の台風予報は進路だけではない
気象庁の台風予報は、3日先までの強度予報(中心気圧や最大風速、最大瞬間風速、暴風警戒域の予報)や、5日先までの進路予報(予想位置と予報円の大きさの予報)だけではありません。
「暴風域に入る確率の予報(図3)」は以前から行われてきましたが、今年の出水期から「警報級の可能性の予報(図4)」が始まりました。
暴風域に入る確率の予報(8月3日3時)では、奄美地方北部が台風5号の暴風に入る確率は、5日0時すぎが一番可能性が高く、50%を越えています。
警報級の可能性の予報(8月3日5時)では、鹿児島県奄美地方では、3日の朝から波浪警報級の可能性が「中」であり、4日~6日までは「高」が続き、7日になって「中」になる予報です。これに対し、沖縄県本島の中南部では4日になってから波浪警報の可能性が「高」で、大雨警報の可能性はありません。
台風情報は、どんどん充実していますが、その有効活用が課題となっています。