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二次災害を防ぐために 停電復旧後の通電火災とトラッキング現象に注意

中澤幸介危機管理とBCPの専門メディア リスク対策.com編集長
トラッキング現象は浸水でコンセントが濡れることでも起きる(提供:hichako/イメージマート)

台風10号による被害により停電が各地で発生していますが、停電の復旧後は、電気機器からの漏電が原因で「通電火災」が起きたり、浸水などによりコンセントに水分が付着することでトラッキング現象が生じ火災に至る場合があるため、注意が必要です。昨年の台風15号による千葉県の広域停電では、通電火災とみられる火災が数件報告されました。特にトラッキング現象は、たとえ電化製品の電源がオフの状態であってもコンセントに電源プラグが差さっているだけで起きる可能性があり注意が必要です。

台風通過後も油断しないで

災害などでは、命を守ることが最優先ですが、その次に重要なのが被害を拡大させない、二次災害に巻き込まれないようにすることです。その上で、生活・財産を守る。当たり前のことのようですが、これがなかなか守れず被害に遭われる方が少なくありません。地震後だったら本震後に余震で被災してしまったり、その後の火災で被災してしまったり、津波なら第一波から逃げても続く第二波、第三波で被災してしまう。あるいは、台風通過中は避難所で安全を確保したのにその後に河川が決壊・氾濫して被災してしまうようなケースなど、二次災害に巻き込まれてしまうケースは後を絶ちません。

停電復旧後に起きやすい火災

通電火災は二次災害の代表的な例です。通電火災とは、停電が解消し、通電が再開された際に発生する火災のことをいいます。例えば水害による停電だったら、機械類の電子部品が損傷したり雨水が内部に入ったりしていると通電によりショートして発火する危険がありますし、傷んだ電気配線が発火するケースなどもあります。トラッキング現象は、電極間にホコリや水分、湿気などが溜まることで、電極間がショートする現象です。いずれも、災害時の停電復旧後に起きやすい火災で、住民が不在などの場合は、初期消火や通報が遅れ、短時間で火災が拡大する危険性が指摘されています。

電源プラグを抜きブレーカーを落とす

停電解消時の通電火災を防ぐためは、アイロンやドライヤー、電気ヒーターなどの電熱器具・装置は停電中に電気機器のスイッチを切るとともに、電源プラグをコンセントから抜くことが大切です。停電中に自宅等を離れる際は、ブレーカーを落としてください。特に浸水被害が出ている家では、給電再開時に、漏水などにより電気機器が破損したり、配線やコードが損傷していると出火の原因になります。建物や電気機器に外見上の損傷がなくとも、壁内配線の損傷や電気機器内部の故障によっても、再通電後、長時間経過した後、火災に至る場合もあるようです。煙の発生などの異常を発見した際は直ちにブレーカーを落とし、消防機関に連絡してください。こうした通電火災を知らない人へ伝えてあげることも重要です。

危機管理とBCPの専門メディア リスク対策.com編集長

平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト平成25年度事業継続マネジメントを通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務アドバイザー、平成26年度~28年度地区防災計画アドバイザー、平成29年熊本地震への対応に係る検証アドバイザー。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」「LIFE~命を守る教科書」等がある。

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