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能登半島地震の支援で気を付けるべきこと/不要不急な通行は控える/被災地に負担をかけない

中澤幸介危機管理とBCPの専門メディア リスク対策.com編集長
被災した道路(写真:ロイター/アフロ)

能登半島地震から5日、今も多くの道路が寸断され支援の手が十分に回っていない状況だ。交通渋滞などを引き起こさないため、不要不急な現地への通行は控えるべきだが、どうしても車で現地に行く際の注意点をまとめた。【1月6日執筆】

【持参すべきもの】

・防寒具
・雨具

・長靴
・車中寝具(身動きが取れなくなったときのため)

・ヘルメット

・ヘッドライト

・作業用手袋(できれば防水タイプで作業できるもの)

・タオル類

・水・食料

・携帯トイレ(被災地のものは使わない)

・マスク

・体温計(発熱したら速やかに引き返す)

・消毒液

・スペアタイヤ

・パンク修理セット

・チェーン(スタッドレスはもちろんだが、スペアタイヤにした際のチェーン)

・シガーソケットからの電源・USB電源

・予備燃料:ガソリンの場合は規定の携行缶に入れること

・地図(紙)

・ショベル

・ボロ毛布・段ボール(タイヤがはまった際の脱出用)、土のう(ひび割れへの対応)

・スノーブラシ(窓ガラス用)

・ロープ類:車が動かなくなった際の牽引用など

・脱出用ハンマー

原則として、被災地に迷惑をかけないことが重要だ。水・食料はもちろんだが、トイレなどは被災地の仮設トイレは使わず、携帯トイレを持っていくこと。

現地の交通状況は、金沢方面から奥能登に行くにしても、富山県高岡方面から行くにしても、現時点(1月6日時点)では、七尾市を通らざるを得ない。そのため、七尾市以北の奥能登地方へのアクセス道に車両が集中し、さらに途中途中、道路の亀裂や土砂災害の影響で迂回路が設けられたり、工事による片側通行の箇所が多数存在し、交通渋滞が激しい。道の駅やコンビニなどは断水などでトイレは使えない。ガソリンスタンドも、七尾市や輪島の一部では開いているが、多くが休業中だ。

また、現地ではパンクが多く発生している。当然、タイヤはスタッドレスで、パンクが発生した際、応急修理ができるものやスペアタイヤ、スペアタイヤ用のチェーンも欲しい。雪が降れば路面が見えなくなる。仮にひび割れなどにタイヤがはまった際でも脱出できるようにボロの毛布や段ボール、ロープ、ショベル、土嚢(袋だけ)なども持っていったほうがよい。

紙の地図も手元にあれば便利だ。現地道路の多くが寸断されている可能性があるし、突然、通行止めにあう可能性もある。さらに、近隣にホテルをとっていても、突然の土砂災害などで身動きがとれなくなる危険性はあるため、その際でも車の中で過ごせるよう寝具などもあれば安心だ。

夜間は視界が悪く、段差などが見えずらいためなるべく通行せず、さらに被災地に行く際にはできれば2人以上でペアになって乗車し、1人の場合でも常に会社などと連絡が取りあえるよう日程や連絡手段を細かく共有しておくことが大切だ。

知っておくと便利なサイト

特定非営利活動法人のITS Japanでは、「令和6年能登半島地震」の対応として、乗用車・トラック通行実績情報を公開している。乗用車・トラック通行実績情報は、ITS Japanが本田技研工業、パイオニア、トヨタ自動車、日産自動車、いすゞ自動車、UDトラックス、日野自動車から提供を受けた、匿名かつ統計的に作成された情報を使用し、被災地域内外での移動の参考となる情報を提供することを目的として災害時に提供している。ただし、降雪などの状況で、道路状況は絶えず変わる。直近3日間が通れても当日が通れなくなる可能性もあることを考えておく必要がある。

【乗用車・トラック通行実績情報】

https://disaster-system.its-jp.org/map4/map/#map=9/37.255336/137.079356&layer=gsi

トヨタ自動車も、実際に車が通行できた道路をインターネットで公開している。

https://www.toyota.co.jp/jpn/auto/passable_route/map/


また、石川県警は4日午前7時から、七尾市の田鶴浜東交差点から国道249号や県道1号で輪島市や珠洲市に向かう車両の総量を抑制する措置を始めておりMAP通りに通れない可能性はある。災害復旧の車両を優先させるための措置だ。

繰り返しになるが、不要不急の通行は避け、仮に現地に行くにしても、被災地に負担をかけない万全の準備が必要になる。

危機管理とBCPの専門メディア リスク対策.com編集長

平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト平成25年度事業継続マネジメントを通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務アドバイザー、平成26年度~28年度地区防災計画アドバイザー、平成29年熊本地震への対応に係る検証アドバイザー。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」「LIFE~命を守る教科書」等がある。

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