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内閣府地区防災モデル15地区を選定

中澤幸介危機管理とBCPの専門メディア リスク対策.com編集長
東日本大震災で被災した岩手県大槌町。

内閣府(防災担当)はこのほど、今年4月より施行されている地区防災計画制度の普及にあたり、コミュニティレベルで防災活動に取り組んでいるモデル地区を選定した。東日本大震災での被災を教訓に、津波発生時の独自の避難支援のルールを定めた岩手県大槌町の安堵地区や、マンションの住民全体で防災活動に取り組んでいる神奈川県横須賀市の「よこすか海辺ニュータウンソフィアステイシア自主防災会」など、今年度内に地区防災計画の作成を完了、あるいは予定している全国15地区を採択した。

内閣府では、15地区に対し、必要に応じて地区防災計画の作成や防災訓練を支援するとともに、今後、優良事例として広く PRしていく。

地区防災計画制度は、地域に住んでいる住民や、事業を営む事業者が、主体的に自分たちの住んでいる「まち」の防災に関する計画を策定するというもの。従来の市町村が定める地域防災計画とは違い、行政区を単位とする必要はなく、集落、商店街、自治会、工業団地、マンションなど、自由な対象範囲で防災計画を策定することができる。策定した地区防災計画は、市町村の防災会議に提案し、了承が得られれば、地域防災計画の中に取り入れてもらうことができる。

東日本大震災では、地域住民や事業者(地区居住者等)による自助・共助の精神に基づく自発的な防災活動の重要性が改めて認識され、平成 25 年の災害対策基本法の改正で、同制度が初めて規定された。

同制度の普及啓発に取り組んでいる地区防災計画学会では、11月20日に、岩手県大槌町の計画づくりを支援した専修大学人間科学部教授の大矢根淳氏らを講師に、都内で公開セミナー「企業・住民がつくった地区防災計画~先進事例から成果・課題を検証する~」を開催する。

http://www.risktaisaku.com/sys/seminor/?p=793

選定地区は以下の通り。

1. 安渡 岩手県大槌町

2. 桑折町半田地区 福島県桑折町

3. よこすか海辺ニュータウンソフィアステイシア自主防災会 神奈川県横須賀市

4. 笈ヶ島 新潟県燕市

5. 三木地区まちづくり推進協議会(三木地区自主防災会)  石川県加賀市

6. 長野市長沼地区 長野県長野市

7. 下諏訪町第1区 長野県下諏訪町

8. 下諏訪町第2区 長野県下諏訪町

9. 静岡市葵区上足洗3丁目 静岡県静岡市

10. 富士駅南地区 静岡県富士市

11. 千種区大和学区連絡協議会 愛知県名古屋市

12. 布土区(時志区も含む布土小学校学区) 愛知県美浜町

13. 津市香良洲町 三重県津市

14. 二番丁地区コミュニティ協議会 香川県高松市

15. 上大河平地区 宮崎県えびの市

危機管理とBCPの専門メディア リスク対策.com編集長

平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト平成25年度事業継続マネジメントを通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務アドバイザー、平成26年度~28年度地区防災計画アドバイザー、平成29年熊本地震への対応に係る検証アドバイザー。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」「LIFE~命を守る教科書」等がある。

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