歴史芸人・房野史典を導いた「キングコング」西野亮廣の「文字だよ」

歴史好き芸人として注目を集めているお笑いコンビ「ブロードキャスト‼」の房野史典

「13歳のきみと、戦国時代の『戦』の話をしよう。」(幻冬社)などの歴史関連書籍が出版の度に売り上げランキング上位に入るお笑いコンビ「ブロードキャスト‼」の房野史典さん(40)。中学生向けのYouTubeチャンネル「STUDY FREAK」で歴史の授業を担当するなど独自の“城”を築いていますが、その道のりを指し示したのは「キングコング」西野亮廣さんだといいます。

自分の強みは何なのか

 そもそも、歴史が好きになったきっかけは、小学生の頃にやった「信長の野望」というゲームでした。それにハマったのと、あと、亡くなったじいちゃんが残していた歴史の本があって、ゲームと本、両方から歴史にのめりこんでいった感じです。

 芸人になってからも歴史の話をするイベントもやっていて、歴史を仕事と絡ませるということはやっていたんです。

 そんな中、歴史のことを書く流れができたのは、今から5年ほど前でした。

 その時点で芸歴15~16年にはなっていて、簡単に言うと、売れてない。人気のある若手芸人の“余波”みたいな仕事はちょこちょこある。ただ、そんな流れはすぐになくなる。

 もちろん、賞レースをとれたらいいけれど、賞レースに全ての熱情を注ぎ込んでも、とれる確率は決して高くない。

 ただ、芸人をやり続けたい思いはある。エンタメを届けたいという意志もある。だったら、どうしたらいいのか。自分の強みは何なのか。それをすごく考えていた時期だったんです。

 そこで、以前からいろいろと相談していた放送作家で元芸人の山口トンボに話したんです。そこで「何かしら物事を解釈して相手に説明する。そこが、房野のスキルで一番高いところだと思う」と言われまして。

 そうやって言ってもらうことは本当にありがたいんですけど、それをどうアウトプットしたらいいのかが分からない。そんな中で、トンボと僕と西野さんでお酒を飲む機会があったんです。

「文字だよ」

 西野さんは昔からずっとお世話になってきましたし、トンボも「キングコング」さんのYouTubeを担当したりもしていて普段から接点があって。

 そこでトンボが「この前、房野の話で、こんなことになったんです」と西野さんに話をしたんです。そうしたら、即答で「文字だよ」と言っていただきまして。

 「房野は歴史の話をしゃべるライブをやってだろ?あれもすごくいいし、房野の良いところが出ていると思って見てたんだけど、話はその場で消えてしまう。それを文字で残す。そして、それを出すとしたらFacebookがいいとオレは思う。思わぬ繋がりが生まれる確率が高いし、やってる人たちがオトナだから話が発展していきやすいし」

 特に僕は物を書くイメージがあったわけでは全くないですし、ブログもやってなかったんです。でも、西野さんは文字という方法をすぐに提示してくれた。僕自身も意外に思う文字という方法だけど、昔からお世話になって、こちらのことを見てくださっていた西野さんの視点がそこに込められているようで、すごくうれしかったんです。

 まず自分の長所を見つけるのが難しいですし、それが分かったとて、どう生かして、どんな戦い方をしたらいいのかを見つけるのも難しい。でも、トンボが教えてくれたことをもとに西野さんが一気にビジョンを示してくださった。これはもうやるしかないと。

 飲んだ帰り道、スマホで書き始めました。ライブでしゃべった「応仁の乱」の話を文章にしてFacebookにアップしたんです。朝になったら、すでに西野さんが「これは面白い」とシェアしてくれていて、バズっていたんです。

 そこからどんどん書いていって、さらに反響もいただくようになって。そうしたら幻冬舎の担当者さんから連絡が来て、連載、そして本につながったんです。

 西野さんのアドバイスで書き始めて、半年ほどで本になってました。この流れは信じられないほど早かったですし、いろいろなご縁を強く感じる流れでもありました。

 文字という方法はすごくシンプルというか、表現方法として突飛なものではない。だからこそ、なかなか気づけないし、なかなか踏み込めない。でも、西野さんがそこに「こいつならいけるんじゃないか」というのを見出してくださった。どこまでも、どこまでも、本当にありがたい話だと思っています。

芸人としての色気

 ここ数年、西野さんから言ってもらうようになったのが「芸人として、色気が出てきな」ということです。

 芸人が芸人のことだけをやる。漫才、コントだけをやる。これはもちろん素晴らしいことです。ただ、枠にとらわれないのが西野さんであり、生き様こそ芸人であれというのが西野さん。僕はそう思っているんです。

 なので、枠を取っ払って「オレの“面白い”をここに凝縮したんです」としたら、それはそれで芸人としての一つの形だし、それを今やるようになって、それを西野さんの言葉で表現すると「色気」になったのかなと。それもすごくうれしかったですね。

 西野さんへの恩返しですか?これはね、難しいなぁ…。自分が仲のいい後輩に何か恩返しをしてもらいたいかと想像しても、何かを求める感覚はないですもんね。

 でも、売れてくれたらうれしいし、良かったなぁと思うだろうなと。なので、西野さんへの恩返しがあるとするならば、僕がメチャクチャ売れることですね(笑)。それしかないですね。

 西野さんが背中を押してくださったことをより輝かせるためにも、僕が売れる。それですよね。…すみません、最後、普通のことになっちゃいましたかね(笑)。でも、本当にそう思うので、なんとか頑張ります。

(撮影・中西正男)

■房野史典(ぼうの・ふみのり)

1980年10月23日生まれ。岡山県出身。NSC名古屋校11期生。名古屋学院大学の先輩・吉村憲二とコンビを結成し、名古屋吉本の所属になる。日本史の知識が豊富で、2016年にはWEBサイト「幻冬舎plus」での連載が「泣いて笑ってドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代」(幻冬社)として書籍化された。「笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語」(幻冬社)などを上梓。昨年10月には「13歳のきみと、戦国時代の『戦』の話をしよう。」(幻冬社)が出版された。中学生向けのYouTubeチャンネル「STUDY FREAK」で歴史の授業を担当している。

立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。2003年、故桂米朝さんにスポーツ紙として異例のインタビューを行う。「上方漫才大賞」など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、株式会社KOZOクリエイターズに所属する。現在、読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」などにレギュラー出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞する。また、CNN、BBC、ニューヨークタイムズなどが使用する記事分析ツール「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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