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関西ラジオ界随一の人気アシスタント・山本量子が療養を経て今思うこと

中西正男芸能記者
療養を経て、9カ月ぶりに仕事復帰した今の思いを語る山本量子さん

 MBSラジオ「ヤマヒロのぴかッとモーニング」「こんちわコンちゃんお昼ですょ!」など関西のラジオで数々のレギュラーを持つ山本量子さん(48)。2022年2月にがんで闘病中であることを公表し、昨年7月から約9カ月、療養のため仕事を休むことにもなりました。先月復帰し新たな一歩を踏み出す中、丁寧に胸の内を吐露しました。

返せない恩

 4月5日、9カ月ぶりに仕事に戻りました。

 正直、今回は「復帰なんてできるのかな…」という気持ちが出るくらいしんどい時期もありました。ただ、戻ることができました。

 こんなことを言うときれいごとみたいで恥ずかしいんですけど、本当に皆さんのおかげ。それだけで戻ってこられたと思っています。実際、それが事実ですし。

 もともと出してもらっていた番組、そして新番組。そこに名前を残しておいてもらっている。普通ありえないことですし、ただただ温かい人たちのおかげで戻ることができました。

 だから、もう、感謝しかなくて。なんかね、言葉にするとものすごく当たり前のことになってしまうんですよね。もっと良い言葉がないかとも思うんですけど、結局そこしかない。普通のことですみません(笑)。返せない恩をいただきました。

名前を連ねる意味

 入院中は本当にいろいろ考えました。思うように治療が進まなかったりすると弱気になります。何か言葉をもらっても、素直に反応できなくなっている自分にも気づく。それがまた次のしんどさを生むことにもなって。正直「もうダメかもしれない」とも考えましたし、あきらめるということとも何度も向き合いました。

 ただ、逆にご飯がしっかり食べられるようになって元気が出てくると、また気持ちも変わってくる。かけてもらった言葉に寄ってもいけるし、関われるようにもなっていく。そこでやっといろいろな方々からいただいていたメールとも向き合うことができたように思います。

 まず、入院している私に連絡をくださる時点で、皆さん本当に気を遣って綴ってくださった文面だと思うんです。負担をかけてもいけない。軽すぎてもいけない。でも、何か伝えたい。ありがたいばかりのことですし、そのお心遣いをいただいている時点で心が震えます。

 全般的に「待ってるよ」と言っていただくことが多くて。焦らすわけでもない。「頑張れ」と強く背中を押すわけでもない。その言葉、そして気遣い。本当にうれしかったです。

 ヤマヒロさん(山本浩之アナウンサー)からも年始にメールをいただきました。私としたらベースとして「もう戻れないかな」という思いもあった中で読んだので、より一層、染みわたりました。

 「あなたの定位置は逃げていきません。新番組がスタートしても出演者一覧に名前を連ねてもらえるように頼みました。途中参加でもいいじゃないですか。復活を待っています。年末に『良かったね』と言えたら、それでいいじゃないですか」

 正直、この状態の人間を新番組に入れるって、あらゆることを考えないといけないし、パワーのいることだと思うんです。それでも名前を入れてくださる。これも本当にありがたいことだと思います。

 それと同時に「これは、もう戻るしかない」とも強く思いました。お仕事ですからね。思い出作りでやっているわけではないので、名前を連ねてもらった以上、戻るしかない。さらに番組の戦力になるところまでいかないと、そこにいさせてもらう意味がない。仕事なんだから。それを考えた時に、心のパワーがもう一つ上がったのは間違いないと思います。

ラジオがあったから

 よく「ラジオはリスナーと近いメディア」と言われます。私自身、もともとリスナーさんをものすごく意識してしゃべるタイプでもあったんですけど、今回休んだことでそれがより一層強くなったと思います。

 たまたま伯父が膝の手術で別の病院に入院していて、同部屋に泣いている人がいたそうなんです。なぜ泣いているのかを伯父が尋ねると「いつもラジオを聴いている山本量子ちゃんが仕事復帰したんです」と言ってくださったそうで。

 言葉だけでなく、感覚だけでなく、本当につながっているんだ。しかも、涙を流すほど思ってくださっているんだ。そこがリアルに見えたこともあって、余計にラジオへの思いが強くなりましたね。もともとラジオに感謝はしていたんですけど、もう一つ奥の感謝にたどり着いたというか。

 私自身が子どものころからラジオに助けられてきて今の仕事に就いたんです。そして、今度はまた違う形でラジオに助けられた。本当にラジオをさせてもらっていて良かったと思いましたし、こういった全てがラジオだからこそ起こることなんだろうなとも思いました。

 ここからは恩返しの日々にもなると思うんですけど、どうやって恩返しをしたらいいのか。それも本当に悩んでまして。私の器で返せる量じゃないですしね。

 ただただ、聴いてくださる方にちょっとでも「エエなぁ」と思ってもらえるお話をさせてもらう。それが恩返しになるのかどうかも分かりませんが、ひとまず、そこに力を尽くしたいと思っています。

 …すみません、全体的に普通の話になってますよね(笑)。ごめんなさい。でも、本当に感謝しかないと、どうしても言葉がシンプルになってしまうんです。なんとか、なんとか、今お話ししたようなことができるよう、日々を重ねていきたいと思います。

(撮影・中西正男)

■山本量子(やまもと・りょうこ)

1976年1月15日生まれ。大阪府出身。オフィスキイワード所属。大阪薫英女子短期大学出身。身長163センチ。20代から関西を中心にタレント活動を始め、2013年にMBSラジオ「なにやっテンダラー」でアシスタントを務め、本格的にラジオの世界に進出する。MBSラジオ「こんちわコンちゃんお昼ですょ!」「ヤマヒロのぴかッとモーニング」などに出演中。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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