一歩届かず…「和牛」が考える「M-1」とは

「和牛」の2人。向かって左が水田信二、右が川西賢志郎

「M-1グランプリ2016」で敗者復活から勝ち上がり、最終決戦まで進んだのがお笑いコンビ「和牛」。ボケ担当の水田信二さん(36)とツッコミの川西賢志郎さん(32)が2006年に結成。関西ではABCテレビ「おはよう朝日です」にレギュラー出演するなど人気者となっていましたが、「M-1」後は20~30本のオファーが舞い込み、全国的に注目度が高まっています。優勝には一歩届きませんでしたが、来年の戴冠を見据え、漫才への真摯(しんし)な思いを語りました。

準決勝では負けてる…

川西「残念ながら、優勝はできなかったんですけど、あらゆる方から本当に有り難い言葉をいただきました。今回、僕らは敗者復活枠で決勝に行きましたけど、ということは準決勝では負けてるんです。準決勝の後に決勝進出者が発表されるんですけど、そこで名前を呼ばれることはなかった。決勝に進む人にはその場に残って説明がありますが、落ちた人はすぐに解散になる。準決勝が東京だったので、会場を出て宿泊先のホテルに戻っている最中に、たむらけんじさんから電話をもらったんです」

水田「たむらさんは番組(おはよう朝日です)でもご一緒させてもらってまして」

川西「(TBS系)『水曜日のダウンタウン』の収録終わりでバタバタしてらっしゃったんですけど、びっくりするくらい、発表があった直後に電話をくださったんです。まだネットにも何にも情報が出ていない段階なのに『お前らの名前がないけど、なんでや。どのネタをやったんや?何回戦のネタをやってん?手ごたえはあったんか?』といろいろと聞いてくださって。どうやら、関係者の人に事前に『決勝進出者の発表があったら、自分のところにも連絡をもらえますか』ということをしてらっしゃったみたいで、それだけ気にかけてくださっているということだし、これまでの予選のことも気にしてくださっていたということだし、幾重にもうれしい連絡でした」

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素直に拍手ができた

水田「僕は、まだ準々決勝が終わった後、準決勝進出者の発表があるまでの数日の間やったんですけど、『銀シャリ』の橋本(直)さんと楽屋で二人きりになったことがありまして。準決勝、無事に受かってるかなというような話をしていた時に、さりげなく『オレら以外やったら、絶対お前らのところやもん』とライバルとして言ってくれたのが、すごく心に残ってて。そして、結果、こちらは少し回り道をしたものの、実際に最終決戦で戦えたのはよかったなと思います。去年の『M-1』の決勝でも、順位確定を待っている“暫定ボックス”に『銀シャリ』『和牛』『スーパーマラドーナ』の3組が並んでいる瞬間があって。もちろん、悔しい気持ちも思いっきりありましたけど、今までの全ての賞レースの中で一番素直に優勝者に対して拍手ができた大会でもありました」

短い時間の中での戦い

川西「昔から、ずっと大阪でやってきたメンバーでもありますしね…。去年から今年にかけてやってきたことで言いますと、まず、前回の『M-1』での経験を活かしたというのはあったかなと。『なるほど、こういう感じの大会なんや。それやったら、オレらのこの感じではアカンな』と思う場面がネタ中にも、出番が終わって他のコンビのネタを見ている時にもありました。その改善点を1年かけて強化してきたつもりです」

水田「去年は笑ってもらってはいるけれど、笑いが会場全体を包み込むような『ウォー!!』という感じのものがなかった。なので、静かな中でズバッと言うようなネタではなく、見ている人全員を巻き込むようなものを作っていこうと。おもしろさはもちろん“パワー”と“分かりやすさ”というところをとりわけ特化させたというか。でも、それがまだやりきれなかったから、優勝できなかった。それは本当にそう思います」

川西「そういう意味では、去年は課題が見えやすかったんです。巻き込むようなパワーという部分をアップさせるという課題があれば、そこを重点的にやればいいと。簡単に言ってしまえばですが」

水田「あと、ちょっと入り組んだ話になりますけど、今年のネタの中で特に難しかったのは“時間”かなと。普段、僕らは長めのネタが好きで、8分から10分くらいのネタをよくやっているんです。それくらいの時間になるほど、自分たちらしさが出てきやすいのかなと思っていて。今回のネタも、もともとは8分くらいあったものを『M-1』決勝のネタ時間である4分の中にどう入れていくのか。自分たちが得意としているものをどうやって4分に詰め込んでいくのか。これから来年にかけては、それをひたすら探す日々になると思います」

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“欲”と“免許”

川西「今年の順位より上げるためには、そのあたりだろうなと…。えっ、自分にとって『M-1』はどういうものか?それに答えるならば、う~ん、そうですねぇ…、“一番強い欲”やと思います。お金がほしいとか、有名になりたいとか、モテたいとか、もちろん、そういう欲もあるんですけど、あらゆるものと天秤にかけた時に『M-1』で優勝するということに勝る欲はないんですよね。ま、それを手に入れれば、お金ももらえるし、有名にもなれるし、モテたりもするというのが向こう側に透けて見えるからかもしれませんけど(笑)、やっぱり、やっぱり、一番強い欲が『M-1』なんです」

水田「僕にとっては“免許”ですね。『舞台で一生漫才をやってもいいですよ』という。もちろん『M-1』をとらなくても漫才はできますし、そもそも、お医者さんや弁護士さんと違って漫才師は免許でやるものではない。ただ、それでも、僕にとっては唯一の免許が『M-1』なんじゃないかなと思えるんです。…ということを考えていたんですけど、相方の方が先にエエことを言ってるなと思ったんで、スミマセン、そっちを活かしておいてもらえますかね(笑)」

■和牛(わぎゅう)

1980年4月15日生まれで愛媛県出身の水田信二と、1984年1月29日生まれで大阪府出身の川西賢志郎のコンビ。2006年結成。 ともに大阪NSC26期生。コンビ名の由来は、水田のアルバイト先のお店で最も高いメニューがバイト先で「和牛ステーキ」だったことに由来する。水田は元料理人でテレビ番組などで、その腕前を披露することも。また、川西は夫婦漫才コンビ「かつみ・さゆり」のかつみのモノマネでも知られている。ABCテレビ「おはよう朝日です」などに出演中。「M-1グランプリ2016」で2位となる。「アキナ」「アインシュタイン」とのカウントダウンライブ「アキナ牛シュタイン」(12月31日、大阪・Zepp Namba)も開催する。