対局室には独特の空気感があります。その雰囲気を破る珍客がこのたび、名人戦リーグ「芝野虎丸王座対余正麒八段戦」でも現れました。両対局者が部屋から出て避難する騒ぎになった犯人は……。

6月17日。木曜日はプロ碁界では手合い日になっていて、多くの棋士が対局に臨んでいました。

日本棋院5階には5つ、畳の対局室(個室)があります。名人戦リーグ・芝野虎丸王座対余正麒八段戦は一番奥の「清風の間」で打たれていました。

リーグ戦残留に向けて1でも買っておきたい大事な一戦です。

午後6時過ぎ、記録係の近藤登志希初段が同じフロアにある記者室に駆け込んできました。「対局室に虫がいて……」。

それを聞いた私はまず虫の駆除をせねばと思い、階下の日本棋院の事務所に行き、事情を話しました。殺虫剤を手にした棋院の職員とともに対局室向かうと、芝野さん、余さんともに廊下に出ていました。近藤さんは部屋の入り口あたりにいて、「あそこに虫がいます」と指さします。

小指ほどの大きさの虫飛び回っています。見た感じではガガンボではないかと思いました。