阪神・佐藤輝明選手も学んだ、巨人・畠世周投手もはまった「囲碁」 近畿大学の単位の取れる囲碁講座とは

近畿大学での「囲碁で学ぶ経営科学入門」講義中。講師・古家正大四段(中央)提供。

囲碁は、社会人になる前の学生にも大きな示唆を与え、学べる効用があり、東京大学をはじめ多くの大学で、単位の取れる課目として、「囲碁」が採用されている。

近畿大学では、スポーツをやる学生に頭を使って競技をして欲しいと、2013年から採用され、阪神・佐藤選手や巨人・畠選手らが受講。本業に大いに役立っているという。

その様子と成果を、講師の囲碁棋士・古家正大四段にきいた

近畿大学では世耕弘成氏が理事長のとき、運動部の学生に「頭を使ってスポーツをして欲しい」と、「囲碁で学ぶ経営科学入門」講座が2013年から開講されている。

担当するのは日本棋院棋士四段の古家正大さんだ。

もともとの目的から、スポーツをやっている学生が多く受講しています。野球、アメフト、相撲、空手、シンクロ……。角界入りした学生もいますし、空手のオリンピック代表・西村拳くんもそうです

講師の日本棋院棋士・古家正大四段(本人提供)。本人も立命館大学時代、学生十傑戦で優勝経験がある。アマチュアからプロに転身。普及活動に情熱を燃やす。
講師の日本棋院棋士・古家正大四段(本人提供)。本人も立命館大学時代、学生十傑戦で優勝経験がある。アマチュアからプロに転身。普及活動に情熱を燃やす。

「経営科学」と銘打っているが、内容は碁のルールを覚え、打てるようになるという楽しいもの。半年の受講でほとんど全員が正式な19路盤で打てるようになるという。

1クラス40人で週に5コマ。年間200人以上が碁を趣味にできるほど上達しているというからたいへんなものだ。「スポーツをやっている人は自然に礼儀正しい。囲碁も『礼に始まり礼に終わる』。共通点も多く、『囲碁もスポーツですね』といってくる学生も1人や2人ではありません」と古家四段。

取ろう取ろうは取られのもと」「相手にも与えよ」など、囲碁は戦略が実生活でも大いに役立つ示唆がある。たとえば「損切りの概念が見事に囲碁にあった」と、ベテランから若手まで、はまる経営者や政治家も多い。

プロ野球巨人にドラフト2位で入団した畠世周投手は、なかでも出世頭だという。

古家四段「畠くんは強いですよ。半年で5級くらいまでなりましたから。とてもはまって野球部の寮に碁盤と碁石貸して下さい』といって、後輩達に教えていました。野球部では碁が流行する伝統ができています。なので初心者が受講するのに、野球部の子たちは入ってきた時点で強かったことも。楽天の小深田大翔くん(ドラフト1位)、オリックスの村西良太くん(ドラフト3位)もけっこう強かった。最近では阪神の佐藤輝明くん(ドラフト1位ルーキー)も受講していました」

大阪出身の古家四段。お子さんと野球観戦中(本人提供)。
大阪出身の古家四段。お子さんと野球観戦中(本人提供)。

畠投手は、「週刊ベースボール」で「やっぱり勝負事は、先を読むことが大事だと思いますね。野球ではまだまだだと思いますが、囲碁は自信があります」とインタビューに応えている。(https://column.sp.baseball.findfriends.jp/?pid=column_detail&id=046-20171002-08

古家四段のモットーは「自分で気づくことを大切に」だ。

囲碁は気づきのゲームだと思うのです。自分で考えて気づかせる、ということを大事にしています。彼らの年代で、全く知らないことを始める経験は貴重です。

囲碁は絶対、失敗するゲームでもあります。失敗しても腐らず、その経験を学びに変えていく。スポーツに通ずるものが大きいと思います。人生においても応用して生かしていって欲しいと思っています

囲碁観戦記者・囲碁ライター。神奈川県平塚市出身。1966年生。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。お茶の水女子大学囲碁部OG。会社員を経て現職。朝日新聞紙上で「囲碁名人戦」観戦記を担当。「週刊碁」「囲碁研究」等に随時、観戦記、取材記事、エッセイ等執筆。囲碁将棋チャンネル「本因坊家特集」「竜星戦ダイジェスト」等にレギュラー出演。著書に『井山裕太の碁 AI時代の新しい定石』(池田書店)『囲碁ライバル物語』(マイナビ出版)、『井山裕太の碁 強くなる考え方』(池田書店)、『それも一局 弟子たちが語る「木谷道場」のおしえ』(水曜社)等。囲碁ライター協会役員、東日本大学OBOG囲碁会役員。

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