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WBCで今永昇太から一発を放った韓国の32歳 大会の「後遺症」を語る

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
パク・コンウ(写真:NCダイノス)

今年3月に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。1次ラウンドで敗退した韓国チームの中で16打数6安打6打点と活躍、日本戦で今永昇太(DeNA)から放った一発を含む2本塁打を記録した打者がいる。外野手のパク・コンウ(NC)だ。

WBC日本戦で今永昇太から一発を放ったパク・コンウ
WBC日本戦で今永昇太から一発を放ったパク・コンウ写真:CTK Photo/アフロ

32歳のパク・コンウは通算打率3割2分5厘でKBOリーグ歴代3位(3000打席以上)、右打者ではトップに立つ。その好打者が「WBC後遺症」を口にした。

「例年よりも早い時期に体を作ったからか、WBCに出た後は自分のペースが落ちています。バッティングの時のバランスが良くなくて、ボールが速く見えてしまいます。前までなら『イーチ、ニ』というタイミングでボールを見られたのが、今は『イチ、ニ』という感じです。変化球も待てないんです」

パク・コンウは自身の本来の打撃スタイルについて「球種やコースを読むのではなく、『次の球を打つ』と決めて、ボールがストライクゾーンにきたらフェアゾーンに入れるし、外れたら見逃すかカットして対応する」と話す。今永との対戦でもそうだった。

「1球目のスライダーを空振り、2球目直球(152キロ)も空振りして、ボールの後、引っ張るのは無理だと思って、次の球(直球153キロ)を当てにいったら運良く、ライトにホームランが入りました」

パク・コンウは今永について「自分が今まで対戦した左投手の中で一番いいストレート。ホップしてきました」と振り返った。

パク・コンウは身長184cm80kg。小柄ではないがバットを少し短く持っている。「バットのヘッドを生かして打つタイプではなく、バットスピードが大事」というのが理由だ。WBCでは今永の速球にも対応出来たパク・コンウ。しかし今はリーグの投手の球を速く感じている。

自身の状態を「良くない」と話すが、パク・コンウの現在の打率は2割9分2厘。5月の月間打率は3割1分9厘と上向きだ。「ガンバリマス!」と日本語で言って笑顔でロッカールームに下がったパク・コンウが、「WBC後遺症」から抜け出すのはもうすぐかもしれない。

(記録は5月30日現在)

⇒ 2023年 韓国プロ野球個人成績(ストライク・ゾーン)

(関連記事:【WBC】韓国、日本戦にあわやコールド負けの大敗で2連敗 2次R進出にはわずかな可能性のみ

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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