Yahoo!ニュース

オールブラックス指揮官ロバートソン、代表資格議論に本音見えず。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター

 ニュージーランド代表のスコット・ロバートソンヘッドコーチが3月、来日し、16日に東京・秩父宮ラグビー場で取材に応じた。

 現在、日本で開催中のリーグワンにはニュージーランド代表経験者が複数、プレー。ロバートソン氏就任前にあたる昨秋のワールドカップフランス大会で決勝に進んだメンバーも多いとあり、各選手とのコミュニケーションが訪日の主目的だったと見られる。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——来日目的は。

「オールブラックス(ニュージーランド代表)の選手が日本でプレーしているところを見に来ました。コーチ陣にもニュージーランド出身者が多いので、キャッチアップするためにも。それぞれがトレーニングするところが見られたり、コーヒーを飲んで話すことができたりしたのはよかったです。

 ニュージーランドに由来のある選手やスタッフ、メディカル、分析担当の数の多さには驚き、嬉しかった。それぞれ日本を楽しんでいて、この国が質の高いラグビーをしていることにも」

——期間と視察場所は。

「東芝ブレイブルーパス東京、トヨタヴェルブリッツ、コベルコ神戸スティーラーズに。スティーラーズに関しては、昨日の試合(16日に埼玉パナソニックワイルとナイツと対戦)も見ました」

 ブレイブルーパスにはスタンドオフのリッチー・モウンガ、フランカーのシャノン・フリゼルが複数年契約で在籍。この日の秩父宮では、三菱重工相模原ダイナボアーズとの第10節に出場していた。

 現在の選考対象者では他に、ヴェルブリッツのスタンドオフであるボーデン・バレット、スティーラーズのアーディ・サヴェアがいて、それぞれ1季限りで帰国する。

——モウンガ選手がブレイブルーパスの契約を終えて帰国した場合は。

「モウンガは日本でもとてもいいプレーをしていると認識しています。アーディ・サヴェア、ボーデン・バレットはサバティカル中(後述)。モウンガは3年、日本でプレーする。27年のワールドカップに出られるのであれば、選考を検討したい」

——ニュージーランドに比べフィジカルレベルに限りがあると見られる日本でプレーした選手が、パフォーマンスのレベルを落とす懸念は。

「リーグワンはスピードがあり、接点も激しい。嬉しく思うのは、個々がいいコンディションでプレーされている。スタッフからケアされ、いいコーチングを受けている。大切なことはニュージーランドに戻ってきてもいいコンディションでいて、テストマッチにいい形で臨むこと。日本のメディカルスタッフとも会話を重ねているので、嬉しく思っている」

——日本人で印象に残った選手は。

「ワイルドナイツの10番は質が高かった。松田力也です。フィールド内外で選手をうまく操っている」

 ラグビー王国を代表する指揮官に集中する質問がある。代表規定についてだ。

 ニュージーランドには、自国でプレーしている選手しか代表入りできないという内規がある。

 現役の代表選手が他国へ行く際は、サバティカル(※)という仕組みを使って1年契約でプレー。バレットやサヴェアも然りだ。

 かような取り決めがある国は珍しく、ワールドカップ2連覇中の南アフリカ代表は日本をはじめとした海外でプレーする選手もセレクト。そのため、ニュージーランド国内でもルール変更について議論されている。

 ロバートソンも問われた。しかし…。

——改めて、協会が定めたルール上、いま日本でプレーする選手はニュージーランド代表にはなれません。

「資格要件については変更がないと理解しています」

——南アフリカは海外でプレーする選手も代表に選んでいます。ニュージーランドでは。

「答えた通り、現状は、変更がないと理解しています」

——ルールが変わって欲しいと思うか、そうでないか。

「先ほどお伝えした通りです」

 定まったルールのもと最善を尽くすべくニュージーランド協会と契約した指導者は、そのルール自体への言及を一貫して避けた。その周りには、当該の質問を制限しようとするスタッフもいた。

——改めて、ニュージーランド代表は10月に日本代表と対戦します。

「試合当日に何が起こるかわからない。様々な点で準備を進めたい。日本のスピード、バラエティ、変革のあるラグビーが楽しみ。お客さんがたくさん来ることも」

 会話中、よく微笑んでいた。

※サバティカル=もともとは長期契約者向けのまとまった休暇という意味。ここではニュージーランド協会と契約するオールブラックスの選手が1年間、海外でプレーできる制度を指す。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事