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早稲田大学の矢崎由高、近づく日本代表入りへ何を付け加える?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(筆者撮影)

 洗礼を浴びた。

 今年7月にスコットランドでの「ワールドラグビー U20トロフィー」に挑む20歳以下(U20)日本代表候補は、3月8日、リーグワン1部初代王者の埼玉パナソニックワイルドナイツと練習試合を実施。14―74と敗れた。

 今季のU20にとっての初陣に、相手はベン・ガンター、布巻峻介ら日本代表候補を並べていた。

「もちろん格上の相手なので、できないことの方が多かったですが、できた部分があったことも収穫として得られたのが大きかった」

 こう語ったのは矢崎由高。早稲田大学の1年生で、最後尾のフルバックとして2トライを挙げた。昨年のU20にも、桐蔭学園高校を卒業したてながら参加。「もちろん経験を皆に伝えるのは役目。キャプテンシーを持ってプレーしようと話しています」と意気込んでいた。

 試合後、メディアに応じた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——相手は、いままでで戦ったなかで一番、強かったのか。

「ベン・ガンターさん、布巻さんとかがいたので、個人としてのトップを挙げたら(比較したら)こっちのほうが強かったかもしれないです。ただ、チーム全体の完成度で言えば去年対戦したU20フランス代表も強かったかな。一方、僕たちもチームとして成り立っていない。一概には言えないです」

——好カウンターを披露。

「大久保直弥ヘッドコーチからも『カウンターでは積極的に展開を』という話があり、そこはできたかなと。前が空いたら、走り切れる」

——これからU20日本代表に高校日本代表勢が昇格する可能性もある。

「実力があれば選ばれる。僕よりいい選手がいたら、その選手が選ばれると言うだけ。結果的に選ばれた選手が遠征に行く。まずは自分が選ばれるように」

 身長180センチ、体重85キロ。球をもらう前からのスペースへの走り込み、防御を置き去りにするフットワークが際立つ。在籍してきた桐蔭学園高校、早稲田大学では1年時からレギュラーで、今年はエディー・ジョーンズ新ヘッドコーチ率いる正規の日本代表の候補選手となった。2月6日から2日間、福岡でのトレーニングスコッド合宿へ参加。その所感も語った。

——2月7日までの代表候補合宿後はどう過ごしたか。

「早稲田がベーシックスキルを積み上げている途中。それに則って積み上げてきたつもりです」

——代表候補合宿に行ったことで、自分の取り組み、態度が変わったと感じるところはありますか。

「もちろん、レベルの高い環境に置かれて練習をしたことによって、他の意識の高い選手、レベルの高い選手を見て、自分はこのままでは満足しちゃいけないと再認識した部分もあります。取り組み、姿勢をもっとさらに向上させようということは感じました。(驚いたのは)全員です。皆、僕よりうまいので。

(それ以来)自分でまだ追いついてないベーシックスキルについて取り組んでいます。パス&キャッチなどラグビーの根本の大事なところについてです」

——今年の目標は。夏にはフル代表がテストマッチをおこないますが。

「もちろんチャンスがあれば。そこに選んでもらえるように少しずつ自分のスキルをレベルアップさせて、『結果的に呼ばれた』という形を作っていけるように。その準備はしていかないと」

——自分のどこをよくすれば、代表デビューが叶いそうですか。

「先ほど言ったベーシックスキルもそうですし、これからやる U 20 の高いレベルで自分のパフォーマンスを発揮し続けられる、その状況を自分で準備しておくことも大事です」

——フル代表のテストマッチがあるのとほぼ同時期にU20 の活動もあるが。

「その時、その状況が来たら(考える)」

——U20 日本代表は昨年の上位大会から降格しています。復帰させたい気持ちは。

「戻すというのは結果。勝つことが目標。結果的に戻したいということになると思うんですけど、U20の試合には勝ちたいです」

——今回のU20のキャンプへも、日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチが訪れていました。

「『ヤザキ』って。覚えていてくれて、よかったです!」

——ジョーンズさんから課題、宿題をもらっていますか。

「見たらわかる通りまだ細いので、ウェイトに取り組むこと。あとは、これから世界のラグビーでキックとかハイボールが増えていくので、練習しておくようにと」

 ちなみにこの午後、高い弾道のボールを首尾よくキャッチするシーンがあった。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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